スーパー戦隊の戦略

人は中途半端な状態を気持ち悪く感じ、なるべくキリがいい状態にしたいと考える性質があります。腹筋運動をしていて、99回目に達したとします。あなたは99回も続けたのでだいぶ疲れています。では、99回目で腹筋をやめるでしょうか。キリがいい100回目をやるのではないでしょうか。99回でも100回でも、トレーニングの効果や疲労度はほとんど変わりません。しかし、ほとんどの人は99回で終わるのはなんとなく気持ち悪いと感じ、頑張って100回目をやるのです。

コツコツ貯金して990万円まで貯めたとします。それなりに達成感はあるでしょう。しかし、990万円まで貯めた満足感より「あと10万円貯めて1000万円にしたい」という気持ちの方が強いはずです。

この心理を利用して、仕事のパフォーマンスを上げることもできます。多くの人は今やっている作業をキリのいいところまで進めようとします。ところが、キリがいいところで止めて休憩に入ると、その作業に戻るのが億劫になってしまう場合があります。あえて作業をキリが悪いところで止めてみましょう。すると、作業の空白があってもすんなり作業を再開しやすくなります。

「〇〇レンジャー」などのスーパー戦隊ものは、2月から3月くらいに第1回の放送があり、約1年後に最終回を迎えます。通常、テレビの番組改編期は4月と10月です。なぜスーパー戦隊ものは4月スタートではなく、2月や3月といった中途半端な時期にスタートするのでしょうか。

スーパー戦隊のメイン視聴者は、未就学児から小学生の子どもです。もしスーパー戦隊が3月末に終わり、4月初めに次のシリーズが始まるとすると、子どもの進級・進学の時期と重なります。進級・進学のバタバタしているときに、ちょうど1つのシリーズが最終回を迎えたら、そこで視聴習慣が途切れてしまうリスクが高まります。続けて次のシリーズも見てもらう可能性を少しでも高めるために、あえて初回を中途半端な時期に設定しているのです。

2025年現在、スーパー戦隊シリーズの放送時間は日曜午前9時30分から10時までで、その前の9時から9時30分までは仮面ライダーシリーズが放送されています。多くの視聴者は、仮面ライダー、スーパー戦隊と続けて視聴します。そして仮面ライダーシリーズはだいたい9月に初回がスタートし、約1年後の8月頃に最終回を迎えます。

ライダーものと戦隊もののサイクルが半年ほどずれているのも、視聴者をつなぎとめる作戦です。2つの作品が同時期に最終回を迎えると、キリがいいのでそこで視聴習慣が止まってしまう恐れがあります。サイクルを半年ずらすことによって「一方が最終回を迎えるとき、もう一方は物語の中盤あたり」という状態を作れるので、視聴者をつなぎとめる確率が高まります。

あなたも知らないうちに、こうした戦略にはまっているかもしれません。

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