アイデア出しとマヨネーズ

「星座を50個列挙してください」と言われたら、まずはおうし座・射手座など星座占いに出てくる黄道十二宮の星座や、オリオン座・カシオペア座といった有名な星座を挙げるでしょう。そういったメジャーな星座が出きった後で、とけい座・コンパス座といったマイナーな星座が出てきます。最初から「ろ座」とか「ちょうこくしつ座」などのマニアックな星座は出てこないと思います。

人は誰しも、ありふれたものやメジャーなものをすぐに思い出す傾向があります。課題解決に取り組むときも同様に、過去の記憶や経験からすぐに安易なアイデアを思いつきます。

「あなたはスーパーの経営者です。最近、店の売上が対前年比で10%前後の減少が続いています。解決策を考えてください」こんな問題が出されたとします。まずは「特売セールをうつ」「広告宣伝を強化する」「商品ラインナップを見直す」といった案を思いつくのではないでしょうか。

脳は怠け者の傾向があって、楽ができるものなら楽をしようとします。スーパーの立て直し案を考えるときも、すぐに思いつくようなアイデアをひとしきり出して「まあ、こんなもんでしょう。これでいこう」と結論付けてしまいがちです。しかし、本当に革新的なアイデアはその先にあることが多いのです。

発想力が優れている人でも、常に素晴らしいアイデアを生み続けているわけではありません。そのアイデアの大半はつまらないもの、平凡なものであり、画期的なアイデアはほんの一部です。アインシュタインは300本以上の論文を発表していますが、そのほとんどは他の科学者からは見向きもされませんでした。

すぐれたアイデアを生むためには、質にこだわらずに大量のアイデアを考えることです。星座の例でみてきたように、最初の方に思いついたアイデアはありふれたものばかりでしょう。そこでストップせずに、さらにアイデアを捻りだしましょう。

だんだんアイデアを出すのが苦しくなってくるはずです。それでもやめずに、脳の体力の限界までアイデアを出してみるのです。そこまでやれば、膨大なボツの中からキラリと光る原石を見つけられるかもしれません。

ウクライナ出身のアメリカの起業家、アンドリー・セドニエフは、世界的企業でセミナーを開催しました。参加者たちは「30分間でレンガの使い方を100通り考える」という課題を与えられました。

試しに私も考えてみました。10通りくらいまでは、サクサク思いつきました。10を超えると少しずつ苦しくなり、20に近付くころには課題を投げ出したい気持ちでいっぱいでした。セドニエフによると、優れたアイデアが生み出されるのは80個目から100個目の間だそうです。

優れたアイデアというのは、マヨネーズのパックの底にある小さなダイヤのようなものなのかもしれません。絞り始めてからしばらくはマヨネーズしか出てきません。マヨネーズの中身をほとんど出し尽くした段階で、ようやくダイヤが出てくるのです。

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