海外に行くメリットを国内でも享受する方法

2017年に発表されたある論文によると、フォーチュン500社の43%が移民または移民の子孫によって創業、あるいは共同創業されています。別の調査では、アメリカで移民が起業家になる確率は、国内で生まれた人と比べて2倍高いことがわかりました。

移民は新天地で新たな文化を経験して、順応していきます。そうしたバックグラウンドがあるから、彼らは古い慣習や思い込みを客観的な視点で見ることができるのではないでしょうか。彼らは特定の思考の枠組みから抜け出して、新たなアイデアを思いつくことに長けていて、それがビジネスにも生かされていると考えられます。

心理学者のロバート・スタンバークらは、トランプのゲーム「ブリッジ」を使ってある実験をおこないました。まず普通にプロと初心者を戦わせました。結果は当然プロの勝ち。その後、ルールを一部変更して改めて戦わせました。初心者はルール変更の影響を受けず、すぐに新しいルールに順応することができました。一方、プロは長年従来のルールでやってきたため、ルール変更を受けて混乱しました。そのため、一時的にパフォーマンスが落ちてしまったのです。

物事に慣れること、熟練することは、変化に弱くなるというリスクもはらんでいるようです。移民は環境の変化に慣れているので、ビジネス環境が変わってもそれに順応して逆にチャンスに変える力があるようです。

移民になるのではなく、一時的に海外に行くだけでも一定の効果はあります。経済学者のピーター・ヴァンダーは学生のビジネスアイデアに関する調査をおこないました。被験者である学生の半分は、他国へ留学します。残りの半数は自国の大学にとどまります。学生たちにビジネスアイデアを提出してもらった結果、留学した学生のアイデアは自国にとどまった学生のアイデアより17%高く評価されました。

留学は思い立ったら誰でもできるようなものではありません。十分な時間と資金力が必要とされます。では、留学する余裕がない人は順応力や柔軟性を身に着けることはできないのでしょうか。

ヴァンダーの実験では、国内組の学生の一部にある指示をしていました。その指示とは「外国に住んでいることを想像してください。1日の間に起こる出来事や、その際の気持ちや行動などについて考えて、想像した経験を書き出してください」というものでした。残りの学生には、地元での1日を想像して書き出してもらいました。

外国に住んでいることを想像した学生は、地元で過ごす想像をした学生よりも75%以上も創造性が上がったという結果が出ました。海外に行けなくても、行くことを想像しただけで創造性が上がるということです。

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