丁寧すぎる表現あれこれ

あまりに丁寧すぎる言い回しを見たり聞いたりすることがあります。近所のコンビニでは、「当店ではお客様ご自身による袋詰めをお願いさせていただいております」という掲示があります。「ご自身による袋詰めをお願いします」でも十分丁寧だと思うのですが、さらに「させていただいております」ときました。「お願い」というのは店側の意志ですることであって、それにたいして「させていただく」ということばを付け足すのはやり過ぎな気がします。

その店のセルフ用電子レンジにはこんな掲示もありました。「当店で購入された商品以外を温めると故障の原因となるためご遠慮ください」普通に考えてそんなことないですよね。その店で買った商品Aを温めるのは問題なくできるのに、同じ商品Aを他店で購入してその店に持ち込み温めたら故障するはずがありません。普通に「当店で購入した商品以外使用不可です」でいいんんじゃないでしょうか。「ケチで言ってるんじゃないですよ。よその店で買ったのを温めると壊れるからダメなんですよ」ということなんでしょうか。

商業施設やオフィスビルに入ると「マスク着用へのご協力をお願いいたします」という掲示をよく見かけます。この掲示を見ると「ここまでへりくだらないといけないのか」という思いに駆られます。そもそも利用者の大部分は、その施設に協力するつもりでマスクを着けているわけではないでしょう。「マスクを着けてください」ではだめなんでしょうか。

私が通っているジムでは定期的にこのようなアナウンスが流れています。「マスク着用に関しては、鼻まで覆う着用方法にご協力をお願いいたします」聞くたびに違和感を覚えます。「着用方法に協力する」という部分がしっくりきません。「マスクは鼻まで覆ってください」でいいと思います。

このジムのあるマシンには「マシンの動作の際、勢いよく戻すことはマシンの故障やお客様の安全管理のためお静かにお願い致します」という張り紙があります。何を言いたいのかは理解できます。しかし、文法的には破綻しています。「勢いよく戻すことは」と「お願い致します」がつながりません。また、「マシンの故障や安全管理のため」というのもおかしいですね。「故障のため」に「お静かにお願い致します」では意味がつながりません。もっとシンプルに「マシンは静かに戻してください」の方が伝わりやすいでしょう。

このような丁寧すぎる表現の裏には、「『〇〇してください』といったシンプルな表現ではぞんざいに聞こえるのではないか」という気持ちがあるのでしょう。そこで過剰なまでに敬語を使ったり、メインメッセージの間に様々な修飾語を埋め込んだりします。そうしているうちに文法的におかしくなってしまうこともあります。先程の張り紙でいえば、「勢いよく戻すことはお静かにお願い致します」だとさすがにおかしいと思うでしょう。しかし、間にいろいろなフレーズが入った結果、つながりがおかしいことに気付かずにスルーしてしまったようです。

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