「議論が煮詰まってきた」とは、どういう状態だと思いますか。「煮詰まる」とは、本来は「長時間煮て、水分がなくなる」という意味です。食材を十分煮込んで、味の成分が濃縮される上場から、転じて「十分に議論などがおこなわれて、結論が出る状態になる」という意味で使われるようになりました。
さらに、近年では「これ以上新たな展開が望めない状態になる。行き詰る」という意味でも使われるようになりました。まるっきり逆の意味をもったというわけです。「やばい」という言葉は、本来ネガティブな評価を示す形容詞でしたが、近年は若い世代を中心に、高評価を示す形容詞として使われることが増えました。このように、何かのきっかけで、ある言葉が本来とは逆の意味で使われるようになる場合があるんですね。
言葉の意味は時代とともに変わることがあります。「煮詰まる」については、ちょうど過渡期にあるのかもしれません。「煮詰まる」を「息詰まる」という意味で使うことを認めている辞書もあるし、誤用としている辞書もあります。
平成25年度に文化庁が「煮詰まる」の解釈について調査をおこないました。「七日間に及ぶ議論で、計画が煮詰まった」という例文の解釈を尋ねたところ、以下のような結果が出ました。
「結論が出る状態になること」51.8%
「結論が出せない状態になること」40.0%
この調査では、本来の意味で解釈する人の方が多数派でした。解釈について、世代間で違いがあるようです。60代では「結論が出る状態」70.0%、「結論が出せない状態」23.6%という結果でしたが、若い世代では「結論が出せない状態」が多数派を占めています。
ここまで見てきたように、「煮詰まる」という言葉は、個人や世代によって解釈が真逆になる場合があります。誰かが「会議は煮詰まってきました」と言ったとき、どっちの意味なのか。その人の表情や雰囲気で推測した方がいいかもしれません。