「おざなり」と「なおざり」、2つの意味の違いがわかるでしょうか。どちらも、「おろそかにする」という意味合いで、違いはないと思う人もいるかもしれません。しかし、それぞれ意味が微妙に異なっているのです。
「おざなり」は漢字で「御座形」と書きます。「御座敷(おざしき)の形(なり)」を略した形と言われています。お座敷から用事を済ませようとするようすから、本来ならきちんとやるべきことを、いい加減に済ませること、誠意のないその場限りの間に合わせで済ませることを言います。
「なおざり」の「なお」は、「そのまま何もせずにいること」を意味します。「そのまま何もせずに去る」ということから、「大事なことを放っておいたり、真剣に対応しないようす」を意味します。
毎日新聞用語集では、「おざなり」はいいかげんな態度ですること、「なおざり」はいいかげんに考えて放置すること、と書かれています。この説明に従うと、「おざなり」は「実行はしたがいいかげん」、「なおざり」は「実行してない場合がある」ということになります。
以上を踏まえて、下記の例文を考えてみましょう。
最近、トイレ掃除が〇〇〇〇になっている。
〇〇〇〇の部分が「おざなり」であれば、「一応トイレ掃除をやってはいるものの、掃除の仕方がいいかげんだ」というニュアンスになります。一方、「なおざり」であれば、「トイレ掃除がおこなわれていない」というニュアンスになります。
ここまで説明しておいてちゃぶ台をひっくり返すようですが、現実にはそこまで厳密に考えて使い分けている人はほとんどいないでしょう。「トイレ掃除がなおざりになっている」と言われて、「トイレ掃除をやっていないような言い方ですが、掃除をやってはいるんです。言うなら『御座なり』と言ってください」などと反論する人なんて見たことないですよね。「なんだこいつ?」と思われること間違いなしです。
ということで、今回の記事で身に着けた知識は、なかなか役に立つ機会はないかもしれません。