2020~2023年、コロナが世界中で猛威をふるった時期に、リモート飲み会というものが流行りました。私が以前在籍していた会社では、コロナの少し前から定期的にリモート飲み会が開催されていました。
リモート飲み会のいいところは、なんといっても自宅でできるということです。終電を気にする必要もありません。終わって5秒で風呂、終わって5秒で寝る、なんてことも可能です。途中でちょっと抜けて、家事を済ませることだってできます。飲み物はコンビニやスーパーで買って持ち帰り、つまみは買うか自分で作ることもできるので、店で飲み食いするよりも安上りです。
いいことだらけのようですが、リモート飲み会はあまり普及しませんでした。私も何度か参加しましたが、あまり楽しいものには思えませんでした。その理由として、リモートで発生するコミュニケーションのずれがあると思います。
どのようなツールであっても、ビデオ会議では一定のタイムラグが生じます。まず、回線を通じることによって生じるずれがあります。また、対面では伝わる言外のニュアンスが、ビデオ会議では伝わらないこともあります。そういったことが原因で、「なんか対話がギクシャクしてるな」と思った人も多いのではないでしょうか。
ビデオ会議において通常、発言者はひとりだけです。会議であれば、参加者がどれだけ多くても、発言者がひとりだけというのが普通です。しかし、飲み会の場合は違います。参加者全員がひとつの話題を共有するのは、せいぜい参加人数4~5人くらいまででしょう。それよりも参加者が増えると、いくつかのグループができて、それぞれのグループ内で別々の会話が発生します。そんなときにどのグループにも参加できず、ぽつんとひとりで飲み食いすることが多いのが私です。
リモート飲み会では、こうした「複数グループに分かれての会話」ができません。無理やりやろうと思えばできないことはないですが、コミュニケーションが成立しないでしょう。リアル飲み会では、あるグループで会話している人たちは、そのグループの話を集中して聞いています。別グループの会話は、耳には入っていても反対の耳から抜けていく状態です。しかしリモート飲み会では、複数人が同時に発言すると音声が聞き取りにくくなります。また、画面上の誰がどのグループに所属しているのかも、非常にわかりにくいでしょう。
リモート飲み会では、参加者がどれだけ多くても、原則として発言者はひとりだけです。こうした環境で、全員がまんべんなく発言するには、誰かが進行役になって順番に発言を促す必要があります。しかしそれはリアル飲み会ではあまり発生しないやり方であり、落ち着かないと感じる人もいると思います。進行役がいないリモート飲み会は、自然と発言者が一部の人たちに絞られてきます。それ以外の人たちは、ミュート状態にして一部の人たちの会話をBGMにして、手元の缶ビールを開けていくことになります。そうなると、「リモート飲み会って意味ある?」という疑問が沸き上がってきます。
今年の年末、リモート忘年会はどれくらい開催されたのでしょうか?