関東を中心に出店している「名代富士そば」の神谷町店に掲示されていた張り紙が話題になっています。その張り紙には「旅行者の方は、ランチタイムの来店をご遠慮ください。当店は、この近辺で働く人たち・学ぶ人たちを優先します。」と日本語で書かれていました。その下には、英語・中国語・韓国語でも同じ内容が書かれています。
店舗を運営するダイタングループの子会社「ダイタンミール」の責任者によると、客から「外国の人も来ていて利用しにくくなった」という意見があり、それを受けて店独自の判断で掲示をしたとのことです。運営としては、「お客様に対して失礼」と考えて店には外すよう指示したそうです。
私も都内に住んでいて、ここ数年で外国人観光客が急増したように感じています。この店の気持ちもわかります。富士そばのような店は、ランチタイムが一番忙しく、一番の稼ぎ時です。特に時間がない人にとっては、注文から数分で提供されて5分で食べ終われるのが魅力です。
そういった店に、外国人観光客が集団で来ることがあります。彼らは「昼時はすぐ注文して、食べ終わったらすぐ退店する」という暗黙のルールを把握していない場合がほとんどです。入店待ちの行列ができているのに、食べ終わった後もおしゃべりをして長居します。私も実際にそういった光景を目撃しました。私が入店したときはすでに食べ終わっていて、おしゃべりを楽しんでいました。約10分後、私が退店するときもまだおしゃべりは続いていました。こうした事態が続くと、店としても何とかしたいと思うでしょう。
一方で、「お客様に対してすることではなく、正していきたいと思っています」という運営側の気持ちもわかります。多店舗展開する、ある程度の規模の飲食チェーンとしては、特定の客を排除するような張り紙は看過できないでしょう。
富士そばだけではなく牛めし、定食チェーンの松屋でも同じようなことを経験しました。松屋の食券システムは、日本人でもわかりにくくなっています。そうなると、当然外国人観光客はもっとてこずります。ある日私が松屋を訪れたときは、4人くらいの外国人観光客が、松屋の食券を前にして「あーでもない、こーでもない」と相談していました。どうにもわからず、店員を呼んで注文方法を聞いていましたが、店員も説明に四苦八苦。これはいつ注文できるかわからない、ということで、別の店に行くことにしました。
「ランチタイムのお食事は15分以内でお願いします」といった張り紙にするのはどうでしょう。これなら、特定の属性の客を排除することにはなりません。ゆっくり食べたい、食べた後はおしゃべりを楽しみたいという客は、よそに行けばいいのです。飲食店にも客を選ぶ権利はあります。
とはいえ「15分以内」という張り紙でも、運営は許さないと思います。ある程度まで規模が大きくなると、運営はとにかく波風を立てるような施策は避けたがるものなのです。