スタートアップが成功する条件

ポール・グレアムは、1964年生まれのプログラマー、起業家、ベンチャーキャピタリスト、作家など様々な顔をもつ多彩な人物です。

2005年3月、グレアムはハーバードコンピューター協会に招かれて講演をおこないました。テーマは「スタートアップの始め方」でした。この講演には全米中のハッカーたちがこぞって集まりました。

まずグレアムは「スタートアップはあなたたちが思っているほど難しくないし、謎めいているものではない」と述べました。さらに「人々が何をしたいと思っているのかに注目して、どうやったらそれを最低ではない方法でできるかを考えなさい」と続けました。

「最低ではない方法で」というところは注目ポイントですね。人々が「これができたらいいのになあ」とか「こういうことに困ってるんだよなあ」と考えていることを見つけて、そのニーズを満たす方法を考えるーその方法は、ずば抜けて優れている必要はないというわけです。「最低ではない」くらいのレベルでも十分だといっているのです。

スタートアップで大成功を収めるには、誰も思いつかないような画期的なアイデアが必要だと考えている人がいるかもしれません。しかし、それは必須条件ではないのです。事実、Googleが創業された時点で、検索サービスは既にいくつも存在していたし、appleがiPhoneの開発を始めたときには、既にスマートフォンは存在していました。

グレアムは、スタートアップの創業者の働き方については、かなり厳しい考えをもっていました。「年齢は23歳から28歳まで。ディナーの後、仕事に戻って午前3時まで週7日働く生活を4年続けるだけの意欲があり、できればハーバード、スタンフォード、バークレーなどの一流大学が徒歩圏にあること。創業チームにプログラマーを含めること」という内容です。ワークライフバランスがどうのこうのとか言っている人には、とても承服できないかもしれません。

最後の条件は重要です。スタートアップで大成功するには、テクノロジーの力が不可欠です。創業メンバーにプログラムのことがわかる人がいないと、プログラマーの良し悪しの判断ができません。応募してきたプログラマー候補者が、凡庸なのか天才なのかは、ある程度プログラムのことがわかっていないと見極めがつかないのです。

講演終了後、グレアムの周りには人だかりができてきました。ひとりの聴衆が「スタートアップの資金を調達するにはどうすればいいのでしょうか」と尋ねました。グレアムは「技術に強い金持ちを見つけることだ」と答えました。そのとき、「それは自分のことじゃないか」とグレアムは気付きました。そして、スタートアップ企業へのシードファンディングを提供することを目的としたY Combinatorを創立したのでした。

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