政治の歴史は戦争の歴史でもありました。戦争や軍の強化にはお金がかかります。多くの帝国や王朝が、兵士に与える給料や食料、武器や防具の製造、軍事拠点の建設や修復に予算の大半を費やしました。
中国の宋王朝は、年間予算のうち約8割を軍事費に使っていたという記録が残っています。ローマ帝国は5割から7割程度、30年戦争があった時代のフランスでは、軍事費が予算の9割を占めていました。第二次世界大戦中、イギリスやアメリカの軍事費は予算の7割程度でした。
第二次世界大戦終結後、各地で戦争は勃発していますが、世界全体でみると軍事費の割合は縮小していきました。2000年頃になると、世界各国の軍事費の平均は、予算の7%程度まで減少しています。日本の場合、第二次世界大戦中の1944年には軍事費の割合が85%まで増えましたが、終戦後は激減しました。2000年になると、日本の防衛関係費(日本は軍隊を持たないという名目のため、軍事費という用語は使わない)は予算の5.5%でした。ただし近年はその割合が増加傾向にあり、2024年は7%になっています。
一部の国では世界平均の7%を大きく超えて、軍事費を使っています。2022年、ロシアはウクライナへの全面攻撃を開始しました。この攻撃を継続するために、ロシアは多大な軍事費を使うことになります。ロシアの軍事費は公表されていませんが、国家予算の30%程度ではないかという推測もあります。
国にとって、戦争を起こすメリットはどんどんなくなっています。歴史上、戦争の目的は、領土の獲得や経済権益の拡大などでした。しかし現代の国際社会において、戦争によって国土を拡大するということはなかなか実現しないでしょう。また、食糧や資源が不足している国が、隣国に戦争を仕掛けて、その国の食糧や資源を奪うような蛮行も許されません。得られるメリットよりも、経済制裁で受けるダメージの方が大きくなるでしょう。
それでも、世界の軍事費がゼロになるということはないと考えられます。永世中立国として知らせるスイスですら、2023年には6293米ドルの軍事費を支出しているのです。これは世界で37位の数字なのです。