医師の仕事はAIで代替可能か

AIが発達を続けると、多くの仕事がAIに奪われると言われています。特に、定型的でパターン化された仕事はAIに代替されやすい傾向にあります。製造業のライン作業などはその典型です。オフィスワークでも、データ入力や分析はAIの得意領域です。

大きなオフィスビルでは、自動警備ロボットを見ることが増えました。ロボットが巡回して周辺の様子をカメラで撮影しています。異変をいち早く察知することも可能です。「客が暴れている」「具合が悪い客がいる」といったパターンをあらかじめ認識して、その予兆を検知する仕組みです。

実は私自身、そうしたAIの学習データ作成に協力したことがあります。ビルのエントランスに数十人が集められて、ほとんどの人は普通に歩きます。そして、一部の指定された人は、喧嘩の演技をしたり、具合が悪くなって倒れこむ演技をするのです。その様子を撮影して、AIに異常のパターンを学習させるというわけです。

高度な専門知識を基に適切な治療を行う医師の仕事は、AIに奪われにくいと言われています。しかし、2023年におこなわれたある調査は、医師の仕事ですらAIに取って代わられる可能性を示唆しています。

その調査では、患者がChatGPTと人間の医師にオンラインで医療上の助言をしてもらいました。患者は、相談相手がChatGPTと人間の医師、どちらなのかはわかりません。助言内容を専門家が評価したところ、ChatGPTの方が人間の医師よりも正確で適切な助言をしていたことがわかりました。また、助言を受けた患者は、ChatGPTの方が人間の医師よりも親身になってくれたと評価しました。

医師は無報酬でこの調査に協力しました。また、医師は時間のプレッシャーに晒された状態で対応していました。一方で、AIにとって報酬の有無は助言の質に影響を及ぼしません。また、ストレスやプレッシャーを感じることもありません。

上記の調査が示すように、診療の能力だけを見ると人間の医師よりAIが上回っている場面があるようです。それでも、すぐに医師の仕事がAIに取って代わられることはないでしょう。それは、治療を受ける側である患者の問題です。現時点では、自分の大事な体を機械に預けることに抵抗がある人がまだ多いと考えられます。たとえ能力はAIよりも劣っているとしても、腕のいい人間の医師に診てもらたいという感情がある限り、人間の医師は安泰なのです。

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