「なんで」という単語を使うときは注意が必要です。「なんで」という単語は、文法的には理由・原因を尋ねる疑問詞ですが、しばしば単純な疑問とは異なる意図で使用されます。
「なんで混むってわかってたのにトイレに行っておかなかったの!」
「なんで大事な会議なのにしっかり準備をしてこなかったんだ!」
「なんでもっと早く言ってくれなかったの!」
上に挙げた例は、いずれも純粋に理由・原因を問うものではないと推測されます。大事な会議だから、資料や備品などはしっかり準備すべきなのに、部下が用意してきた資料は不備だらけ。プロジェクター等の備品もちゃんと映らない…そんなときに上司が「なんで大事な会議なのにしっかり準備をしてこなかったんだ!」言ったとします。上司は部下に、準備できなかった理由を尋ねているわけではないでしょう。この場合、部下がその理由を理路整然と説明したら上司はますます怒るだけです。
「なんで」というワードを口にしそうになったら、「本当に理由・原因を知りたいのか?」と自問してみましょう。そうではないと思ったら、「なんで」を使わずに自分の気持ちを伝えましょう。「なんでもっと早く言ってくれなかったの!」ではなく、「早く言ってくれればこちらも対応できたと思うよ。今度からそういうことは早く言ってほしい」と言ってみてはどうでしょうか。
人は「なんで」と言われると、攻撃されていると感じてしまう傾向があります。そして、本能的に攻撃から身を守ろうとします。そのため、純粋に理由・原因を知りたい場合は言い方を工夫する必要があります。
「なんで大事な会議なのに準備をしてこなかったんだ」ではなく、「今回の会議、準備が不十分だったと思うんだけど、なにか事情があったのであれば教えてほしい」と言い換えてみてはどうでしょうか。この言い方でも相手は萎縮する可能性がありますが、「なんで」を使うよりは「本当に理由を知りたい」という意図が伝わると思います。
準備不足だった相手を責めるよりは、その原因を特定して対策を考えた方が、再発防止につながるでしょう。そのためには、「なんで」というワードを使わない方が、本当の理由を突き止めやすくなるのです。