2023年4月末頃、インドの人口は14億2577万人に達し、中国を追い越し世界一人口の多い国になりました。それまで、国連等の予測では「逆転は2030年頃」とみられていましたが、インドの人口増と中国の少子化のスピードが予想よりも早かったようです。経済の発展も目覚ましく、2024年のインドの名目GDPは3兆9090億USドルで世界5位です。2025年には日本を抜いて世界4位になる見通しです。
インドの経済発展には、2016年に起こった「ジオ革命」が大きく寄与しています。通信会社ジオは、4Gの高速モバイルインターネットサービスを半年間無料にするというキャンペーンを始めました。
それまでは、スマホで4Gのデータ通信を利用するのに月額6,000円以上はかかっていました。データの利用上限はたったの4ギガバイト程度です。これはほとんどのインド国民にとっては手が出ない代物であり、上位1%の国民しか利用できませんでした。
ジオは、この無料キャンペーンによって、1億5千万人もの新規ユーザーを獲得しました。ユーザーたちは、通信料を気にせず、湯水のごとくネット通信を利用しまくったのです。この期間、ジオのユーザーのデータ使用量は、中国最大の通信会社であるチャイナモバイルを上回っていました。
ジオは無料キャンペーン終了後も、毎月30ギガバイトのデータ利用が月額約300円という破格の値段で、高速モバイル通信を提供しています。インドでは6億人以上がスマホを使っていて、彼らにとって高速モバイル通信は水や電気と同様の社会インフラになっています。
これがインドのスタートアップ企業にとっての起爆剤になりました。創業間もない企業にとって、通信費用はバカになりません。経営を圧迫する原因になり得ます。しかしインドでは、「ジオ革命」によって、通信料を気にせず仕事に打ち込むことができます。
インドの教育事業会社、アンアカデミーは、プログラミング、難関大学の入試対策、公務員試験対策などを提供しています。彼らは、これまでは都会の富裕層の子どもしか受けられなかった上質な教育を、ネットを介してインド中に行き渡らせようとしています。
アンアカデミーのトップ講師は、オンラインで10万人以上の生徒を抱え、年間5千万円以上を稼いでいます。これほど巨大なプラットフォームが可能になった背景には、ジオ革命による高速モバイル通信の価格破壊があったのです。