元サッカー選手で絨毯売りの投資家

ペジュマン・ノザドは、イランで生まれた元プロサッカー選手です。イランからドイツに渡って、学業とスポーツを続けていました。1992年、兄弟のすすめによってアメリカのシリコンバレーに渡ります。当時は片言の英語も喋れなかったそうです。

ペジュマンが最初に就いた仕事は、車の洗車係でした。次にヨーグルトショップの店員となりました。ある日ペジュマンがテレビを見ていると、スタンフォード大学近くのペルシャ絨毯の店が、営業社員を募集しているというCMが目に飛び込んできました。

ペジュマンは営業経験がないということで、最初店から断られましたが、粘った結果採用を勝ち取りました。ペジュマンはその店でペルシャ絨毯を売りまくりました。ペルシャ絨毯を買う客の多くは金持ちでした。ペジュマンは絨毯販売の仕事を通じて、巨大企業のCEOらや大物投資家ともプライベートで会うようになりました。

大物投資家は、今後大化けが期待できる気鋭の起業家たちもたくさん連れてきました。100名以上の起業家を店に招いて、ペルシャ料理をふるまったこともありました。ペジュマンは、そうした人脈を生かして、スタートアップ投資のビジネスを始めたいと店のオーナーに掛け合いました。カーペットのセールスマンが、シリコンバレーの投資家になった瞬間です。

ペジュマンは、かねてからの知り合いの起業家、マー・ハーシェンソンに声を掛けて、一緒にヴェンチャーキャピタルをやろうと誘いました。マーはスペイン出身で、スタンフォード大学では博士号まで取得し、20以上の特許を持っていました。ペジュマンは人脈作りの達人であり、マーはビジネスと発明のプロでした。2人が組んで、若い創業者の企業を支援するベンチャーキャピタル「ペア」が誕生したのは2013年のことでした。

あるとき、ペジュマンは「支援すべきスタートアップを見つけた!」とマーに興奮気味に話しました。それはフードデリバリーの会社でした。マーは「フードデリバリーに投資しても仕方ない」と言いました。しかし、ペジュマンがしつこく誘うので、マーは渋々その会社の創業者トニー・シューに合いました。

マーはトニー・シューの話を聞いて、当初の考えを改めました。トニーはホワイトボードを使って理路整然と、自分の会社の成長戦略をプレゼンテーションしたのです。ペアはトニーの会社に投資することを決意しました。

トニーの会社は「ドアダッシュ」と言います。日本ではあまり有名ではないですが、アメリカではトップクラスの知名度と利用率を誇ります。日本で一定のシェアがあるフードデリバリーの「ウォルト」は、2022年にドアダッシュに買収されて傘下に入っています。

ペアはそういったダイヤの原石を見つけて、世界的な企業になるまでをサポートしています。スタンフォード大学に強いネットワークをもち、学生向けの起業プログラムや資金提供もおこなっています。

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