ベンチャーキャピタル(略称:VC)とは、主に成長率が高いと期待される新興企業に投資し、将来的にその企業が株式を公開したときに売却益を得ることを目指す投資企業、あるいは投資ファンドを意味します。
世界時価総額ランキング上位に名前を連ねるアップル、マイクロソフト、アリババ、テンセントといった巨大企業は、VCの投資を受けてきました。こうしたテックジャイアントになるには、卓越した経営者や、それを支える優秀なスタッフが必須です。それだけではなく、巨額の先行投資も必要になります。
ユニコーン企業(企業価値で10億ドルを超えるようなメガベンチャー)になるためには、資金が必要となります。必要な人材を確保するための資金、認知度やブランド価値を高めるための広告費、設備や技術への投資など、お金はいくらあっても足りません。しかし、スタートして間もない企業には、それだけの自己資金がない場合がほとんどです。スタートアップ企業は失敗するリスクも高いため、銀行はそのリスクをとってまで資金を貸しにくいでしょう。そこで、ハイリスク・ハイリターンを歓迎するVCの出番です。
フェイスブック(現在名:メタ)やエアービーアンドビーは、上場時すでに世界の市場を席捲していました。彼らには多くの資金が必要です。巨額の赤字を出し続けても、世界市場を取りに行くのです。そうして世界で一定のポジションを得てから上場すれば、より多くのリターンを期待できます。そのために必要な資金を提供するのもVCの役割です。
銀行のビジネスモデルは、ローリスク・ローリターンです。融資先が元本や利息を返済できないと判断したら、担保となっている土地や建物を差し押さえます。一方で、VCはハイリスク・ハイリターンです。首尾よく上場すれば、銀行の利息収入とは比較にならない莫大な利益を得ることができます。しかし、投資先が未上場のまま倒産するリスクもおおいにあります。その場合、仮に土地を差し押さえて売却しても何の足しにもならないくらいの先行投資をするのがVCです。
一般的に、VCの投資案件のうち約3分の2は、回収資金が投資資金に満たない「失敗」に終わります。利益が出るのは全投資先の約3分の1に過ぎません。そして、投資資金の10倍以上の利益が出る確率はわずか数パーセントです。VCは、このわずか数パーセントのホームランを目指して投資をしています。
後藤直義、フィル・ウィックハムによって著された『ベンチャー・キャピタリスト』では、VCの投資を、正月に売り出される福袋に例えています。客がVC、福袋の中身が投資先企業です。客は福袋の中身を見ることはできませんが、中にはたくさんの商品が詰め込まれています。もし10万円で購入した福袋を開けて、定価300万円以上の高級ブランドバッグが入っていたら大当たりです。もはや、福袋に入っているその他の中身はどうでもよくなるでしょう。VCの投資も似たようなもので、100社投資して99社が失敗に終わったとしても、1社がGoogleやフェイスブック並みの特大ホームランであれば、大成功なのです。