収入と幸福度の関係

お金で幸せは買えるのでしょうか。その問いに答えるような調査結果が、2010年『アメリカ科学アカデミー会報』に発表されました。この調査は、無作為に選ばれた約50万人のアメリカ人にの生活と収入を分析したものです。この調査を行ったダニエル・カーネマンらは、被験者の生活を調べて、日々どれくらい幸福や不幸を感じているかを数値化しました。

その結果、収入がある一定水準を超えると、幸福度は上がらなくなるということがわかりました。その金額は年収約7万5千ドルです。7万5千ドルまでは、収入が上がるにつれて幸福度も上がっていきますが、そこから先は頭打ちになるということです(2010年の調査結果なので、2025年現在ではその金額はもっと上がっているでしょう)。日本では、この頭打ちになる金額は(諸説ありますが)800万円くらいと言われています。

現代の日本では、年収200万円だと単身世帯でもかなり生活が苦しいでしょう。それが倍の400万円になると、かなり余裕が出てくると思います。頻繁に贅沢はできませんが、週に1日くらいは飲みに出かけ、年に何回かは国内旅行にも行けるでしょう。400万円の倍、800万円になると、かなり生活も変わるでしょう。独身であれば、コンビニで値札を見ずにほしいと思ったものを買い物かごに入れられるかもしれません。

さらにそこから倍、年収1600万円になっても年収800万円と比べて幸福度はそう変わらない、と言われたらどう思うでしょうか。実際にそれだけ稼いでいない人からすれば「本当かなあ」と疑ってしまうのはないでしょうか。

アメリカの作家、思想家のヘンリー・デビッド・ソローは「人の豊かさは、放っておいても大丈夫なものごとの数に比例する」と言いました。年収200万円だと、毎月の家賃や光熱費の支払いも心配事の種でしょう。「今月はちゃんと払えるかな」と。400万円になれば、家賃や光熱費が滞るという心配は取り合えず消える場合が多いと思います。800万円になれば、さらに放っておいてもいいものが増えるでしょう。

そして800万円より先になると、「放っておいても大丈夫なものごとの数」が増えないといえるのかもしれません。800万円より増えた収入で手に入れられるものは、「より高価な住居」とか「より頻繁なスマホの買い替え機会」といったものになるでしょう。それは自尊心を満たしてくれるかもしれませんが、幸福度を上げるのには役立たない可能性があります。

高価なものには上限がありません。住宅、車、時計などがその例です。ただ、乗っている車がワンランク上のものになったからといって、より幸せになるとは限らないということでしょう。それよりも、日々生きるために必要なことについて、少なくともお金の面では心配がないという状態の方が、人を幸せに感じさせるようです。

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