人がなんらかの作業をするとき、作業スピードや正確性は個人差があります。優秀な人であれば、他の人よりも早く、より正確に作業を進めることができるでしょう。その作業に向いていない人は、平均よりもスピードが遅かったり、不正確だったりします。
個人の資質による差を減らすツールとして、マニュアルが存在します。優れたマニュアルを作れば、要領が悪い人でもそのマニュアルに従って作業を進めるだけで、問題なく作業が完了するでしょう。
よくないマニュアルを使うと、様々な問題が発生します。「作業者がマニュアルの手順を守らない」というのは、よくないマニュアルによる弊害のひとつです。「何度注意しても、作業者がマニュアル通りにやってくれない」という場合、作業者だけが悪いとは限りません。人間の性質に反するようなマニュアルを作った場合、人は意図せずしてマニュアル違反を犯してしまいます。
通常、人は最大で3つ程度のことにしか注意を払うことができません。同時に10個の事象に注意を払うことが必要とされるようなマニュアルは、人間の性質に反していると言えるでしょう。
①②③④
上にあるように、①から④までの数字が書かれたボタンがあるとします。「ボタンを①②④③の順に押す」というマニュアルは、人間の性質に反しています。このマニュアルを使ったら、ボタンを①②③④という間違った順番で押してしまう作業者が多数出てしまうでしょう。それに対して管理者は「何度注意してもマニュアル通りにできない」と嘆いてはいけません。マニュアルを「ボタンを①②③④の順に押す」と買えるべきです。もちろん、ボタンを①②③④の順に押したら求める結果が得られるように、ボタンやそれに関連する諸々を変更する必要もあります。
人間の性質に反したマニュアルになっていないか確認するために、管理者は実際にマニュアルに沿って作業をしてみるとよいでしょう。そのとき、マニュアルを熟読しながら作業するのではなく、適当に斜め読みしながら作業してみてください。そうすると、うっかりマニュアルに反した行動をしてしまうかもしれません。マニュアル違反を犯した箇所は、人間の性質に反している可能性があります。マニュアル違反まではいかなくても、違反しそうになったり、違和感を覚えたりした箇所も同様のことが言えます。
管理者は頭ごなしに「マニュアル通りやれ!」というのではなく、常にマニュアルに不備がないか注意を払って、適宜修正していく必要があるのです。