流暢さと信憑性は別の話

スポーツ中継でプロの選手がプレイしているのを見ていると、つい「これくらい自分にもできそう」と思ってしまうことはないでしょうか。しかし実際にマネしてみると、その選手のような動きはとてもできません。このような、相手の流暢さが引き起こす判断の歪みを「流暢性バイアス」といいます。

音楽やダンスでも同様の現象が起こり得ます。ダンス動画でダンサーの動きを見ていると「これくらいなら自分でも踊れそうだな」と思えてしまいます。なんなら「自分の方がうまく踊れそう」と考える人もいるかもしれません。実際に鏡の前で踊ってみると、自分のイメージとはかけ離れたぎこちない動きをしている姿を見て「こんなはずでは」と失望するのです。

スピーチやプレゼンテーションにおいても、流暢性バイアスが発生します。今は誰もが発信者になれる時代です。Youtubeを開けば、有名無名問わず大量のプレゼン動画を目にすることができます。人気のプレゼン動画を見て「この程度の喋りなら自分でもできるだろう」と思うかもしれません。ところが、実際にカメラの前で流暢に喋るのはそう簡単ではないのです。

また流暢性バイアスによって「スムーズでわかりやすい説明を聞くと、その内容を信じやすくなる」という現象が起こります。本来、説明の上手さと説明している内容が正しいかどうかは別物です。しかし、流暢性バイアスが働くと、説明が上手いというだけでその内容も信憑性があると考えてしまうのです。

投資詐欺に引っかかる人は、流暢性バイアスにかかっている可能性が高いといえます。紙の資料だけ見れば怪しさプンプンの内容であっても、スーツに身を固めたエリート風の相手から立て板に水で説明されると「この話、本物かも・・・」と気持ちが動かされることがあります。

逆に、言っている内容は正しくても、プレゼンターが自信なさげな様子で所々つっかえながら説明していたら、多くの人はその人の話を信用できないと思うでしょう。

もしあなたが「儲かる話がありますよ」と持ち掛けられて、巧みな話術によって「この話いいかも」と思っても即決しない方がいいでしょう。流暢性バイアスによって、嘘の儲け話を信じている可能性があるからです。

いったん一人になって、そのときの話を紙に書き起こして整理してみましょう。プレゼンの場では、その場の勢いで受け入れていた話も、後で整理してみるとおかしな点が見つかるかもしれません。おかしな点や不明点が見つかったら、納得する答えが返ってくるまで相手に質問しましょう。

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