プレッシャーは創造性の敵

創造性に関してある研究がおこなわれました。その研究では約2000人の被験者が集められて、おもちゃやスマホアプリなどを使った創造性を刺激するゲームをやってもらいました。ゲームのあとで、一部の被験者にはできるだけ創造的なアイデアを書くように依頼しました。残りの被験者には、単に「何かアイデアを書いてほしい」と依頼しました。

その結果、創造的なアイデアを書くように求められたグループは、求められなかったグループと比較して書いてきたアイデアの合計数も、斬新なアイデアの数もずっと少なくなりました。この実験結果から「創造的であれ」と指示するのは、創造的なアイデアを生み出すのに役に立たない、むしろマイナスになるということがわかります。「クリエイティブなことを思いつかないと」というプレッシャーが、思考の幅を狭めてしまうことが原因なのかもしれません。

仕事で上司やクライアントが「斬新なアイデアを考えてほしい」と依頼することや、出されたアイデアを見て「ありきたりだね。もっとクリエイティブな案がほしい」とダメ出しすることは逆効果であるといえるでしょう。

では、創造的なアイデアを生み出すにはどうすればいいのでしょうか。「数多くアイデアを出す」というのがひとつの解決策です。

コロンビア大学ビジネススクール教授のシーナ・アイエンガーは、学生にアイデア出しのエクササイズをやってもらいました。頭の中に爪楊枝を思い浮かべさせたうえで、2分間で爪楊枝の使い方をできるだけたくさん書かせます。

エクササイズはこれで終わりではありません。また2分かけて爪楊枝の使い方を書かせます。さらにもう一度、2分間で爪楊枝の使い方を書かせます。2分×3セット分の爪楊枝の使い方リストが出来上がります。その後、自己採点でクリエイティブだと思えるアイデアに〇をつけさせます。

ほとんどの学生は、〇が一番多いのは3セット目に考えたアイデアになります。そして1セット目のアイデアは最も〇が少なくなります。

最初の方に思いつくのは、だいたいありふれたアイデアです。誰でも思いつくようなアイデアが出きった後、多少考えないと出てこないアイデアが湧いてきます。そして本当に独創的なアイデアが出てくるのはさらにその先なのです。

99個思いついたアイデアが平凡なもので、100個目にようやく斬新なアイデアが出たとします。このとき、99個のアイデアは無駄だったとはいえません。それらのアイデアは、100個目のアイデアを思いつくためのヒントになっているはずです。

考えに考え抜いて、もうこれ以上何もでないと思った先に光明が見えてくるものなのです。そのとき「創造的なアイデアを出せよ」というプレッシャーは不要です。そんなプレッシャーがなくても、その状態から出てくるアイデアは独創性が高いはずなのです。

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