過去と現在を比較する意味

NBAのミネソタ・ティンバーウルブスに所属するアンソニー・エドワーズの発言が物議をかもしています。アンソニー・エドワーズは23歳で、ミネソタの若きエースです。パリオリンピックでアメリカチームが金メダルを獲得するのにも貢献しました。

エドワーズは『Wall Street Journal』でNBAの過去と現在の比較について質問されて、以下のように語っています。

「昔は今よりもタフだったと言われているけど、当時はスキルのある選手がいたとは思わない。本物のスキルを持っていたのはマイケル・ジョーダンだけだ。現役選手はみんなスキルを兼ね備えている」

この発言については、NBAの現役選手、元選手から批判が上がっています。現役選手のポール・ジョージは「バスケットボールに対して尊敬を欠く発言だ」と批判しています。

バスケに限らず、スポーツでは「過去の選手と現在の選手、どちらが優れているか」ということがよく議論されます。これをいうと身も蓋もないのですが「過去の選手と現在の選手を公平に比較することは不可能だ」と私は考えています。

スポーツ全般において、選手を取り巻く環境は過去よりも現在の方が良くなっているでしょう。良いパフォーマンスを発揮するためのトレーニング、栄養、体のケアにまつわる知見は、これまでの積み重ねでどんどん増えていくものです。競技力を向上させるための器具などのハード面も、現代ではより優れたものが入手できます。

NBAに関しては、マイケル・ジョーダンの時代の選手と現代の選手を比較すると、明らかにフィジカル面が異なります。現代の選手の方が、より筋肉がついており、なおかつ程よく引き締まっているように見えます。これはトレーニング理論、トレーニング器具、栄養学などの発展の恩恵でしょう。バスケはフィジカルだけで勝敗が決まるわけではありませんが、フィジカルは重要な要素です。

現代の選手は過去の膨大なデータを見て、自分のスキル向上に役立てることができます。スマホで簡単に自分のプレイを録画できて、その映像を見ながら改善に取り組むこともできます。

こうした前提を無視して「昔の選手は現代の選手ほどスキルが備わっていない」というのはフェアではないでしょう。「昔の名選手が現代にやってきて、最新のトレーニングをしたらどうなるか」と空想するのは楽しいことです。しかし「どうなるか」について正しい答えを誰も出せないのですから、議論に決着がつくことはないのです。

コメントを残す