多くの識者が、社会人になったら仕事以外の軸を持つことを勧めています。自分は多忙な人間だと思っている学生は多くいますが、学生というのは社会人から見れば暇な人種です。学生が学業、サークル、バイトなどをこなしていると、世界一忙しく充実した生活を送っていると勘違いしがちです。しかし彼らの多くはひとたび社会に出れば、学生時代がいかにぬるま湯の環境だったか痛感するでしょう。
ほとんどの場合、正社員や正規職員として就職すると週5日間8時間はその仕事に従事することを求められます。バイトとは比較にならない責任も背負うことになりますから、週2日の休日も完全に仕事から解放されない状態に陥ることも多々あります。出勤していなくても「休み明けあの仕事を片付けないと」といった感じで、休日も仕事が気に掛かっている社会人は少なくないでしょう。
そこまで仕事に自分のリソースを割いてしまうと、何かの拍子に失職したり組織内で挫折したりすると、自分のアイデンティティが崩壊するリスクがあります。本来仕事は生活の糧を得る手段であり、自己実現の場です。ところが、あまりに仕事にのめりこみ過ぎると、仕事が自分の人生のすべてであるかのように錯覚してしまいます。
今の職場で何か失敗をしたとしても、多くの場合挽回のチャンスがあります。自分の中では取り返しがつかない失敗だと思っていても、自分以外の組織の人間から見ればたいしたことではない、ということも往々にしてあります。仮に本当に取り返しのつかない失敗をしてしまったとしても、人生が終わるわけではありません。その職場を去って、また別の職場で再チャレンジすればいいだけの話です。
以上のことは、ごく当たり前の話です。しかし、仕事一筋で突き進んでいる人にとってはそうは思えないかもしれません。そういった人にこそ、仕事以外の軸をもつことが必要でしょう。
「仕事以外の軸」とは一体なんでしょうか。わかりやすい例でいえば、趣味をもつことです。スポーツ、音楽、読書、散歩などなんでもいいのです。それに打ち込んでいるときは、仕事を忘れて没頭できるものが理想的です。仕事がうまくいかないときは、その趣味に集中すればいいのです。一部の人はそれを「逃げ」というかもしれません。逃げでも全然構わないと思います。あるゲームが行き詰ったときや飽きたとき、別のゲームに切り替えるようなものです。
仕事以外の軸の例として趣味を挙げましたが、他にも副業や地域の活動なども軸としてあり得ます。週5日従事している仕事があるとして「自分にはその仕事しかない」という状態だと、その仕事がうまくいかなくなったときに、人生全体がうまくいかなくなったかのように錯覚してしまいます。また今の時代は、たとえ自分がベストを尽くしていても突然首を斬られるリスクもあります。そんなとき仕事しか自分の軸がなければ、途方に暮れてしまうでしょう。
複数の軸をもっていれば「今は本業が不調なだけ」と余裕をもって受け止めることができます。私自身も、4年前まで会社勤めをしていましたがいろいろあって退職しました。そこでそれ以外の軸がなければ精神を病んでいたかもしれません。しかしそのときは筋トレやバスケサークルといった別の軸があったので、メンタルを保つことができていました。
もちろん筋トレやバスケをいくら頑張っても収入は得られません。それでもメンタルを保てるというメリットが大きかったように思えます。そのおかげで、焦って変なところに就職せずに自分の希望に近いような職場を得ることができました。
本業で何かあったときに逃げ込める軸がない人は、複数の別の軸を探してみることをお勧めします。