今回はパリオリンピックの男子バスケットボール、日本対フランス戦の感想を書きます。
日本時間の7月31日に、パリ五輪男子バスケットボール1次リーグ第2戦として日本対フランスの試合が行われ、日本は90-94で敗れました。
この試合はいろいろな意味で話題が豊富でした。日本代表の主力、八村塁選手がアンスポーツマンライクファウルを2回犯して退場。第4クオーターで渡辺勇飛選手が、フランスのビッグマン、ルディ・ゴベア選手をブロック。そしてラスト約10秒、日本が4点リードの場面で、フランスのマシュー・ストラゼル選手が決めた4点プレイ。今回、最後の4点プレイについて私が考えたことを書いてみます。
第4クオーター残り約10秒の場面で、日本は84-80と4点リードをしていました。フランスがボールを回して、外にいたストラゼルが3ポイントシュートを打とうとします。それを防ごうとストラゼル選手に近付いたのが河村勇輝選手です。河村がチェックをしましたが、ストラゼルは3ポイントを決め切りました。さらに河村にファウルが宣告されます。3ポイントが決まっただけならまだ1点勝っていたのですが、河村にファウルが宣告されたことでさらにフリースローが与えられます。そしてストラゼルはフリースローを決めて同点。日本は残された時間で勝ち越しを狙いますが、決まらず試合は延長戦へ。延長の末、最終的に90-94で敗れたのでした。
最後の河村のディフェンスについて「あれはファウルではない」という声が日本のみならず世界から上がっています。確かにそのときの写真や動画を見る限り、河村はストラゼルに触れていないように見えます。
もしあのプレイがファウルではなく、単に3ポイントが決まっただけであれば、日本は84-83で1点リードの場面です。残り10秒で1点リードか同点か、これは天と地ほどの差があります。その場合、おそらくフランスはファウルゲーム(攻撃側が時間稼ぎをできないようにわざとファウルをして時間を止めること)を仕掛けてくるでしょう。ファウルされた日本はフリースローが2本与えられ、フリースロー後の攻撃でフランスは同点または逆転を狙うことになります。
ファウルゲームは残り時間が少ないときに負けている側が仕掛けるもので、一般的には成功率が低いものです。ファウルで時計を止める代償に、相手に2本のフリースローを与えるので当然仕掛ける側が不利になります。ファウルなし、日本1点リードで進んでいれば、日本が高い確率で勝利していたでしょう。
一方、審判の判定云々いう前に、あのプレイで同点にされないような道が日本にはあったという意見もあります。あの場面でフランスは2ポイントではなく、3ポイントを狙っていることが明白でした。したがって、日本はある程度2ポイントを決められるリスクは許容して、外にいるフランスの選手にボールが渡らないような動きをするべきだったかもしれません。
しかし現実には外で待っているストラゼルにボールが渡ってしまいました。ここで河村は、頑張ってシュートを防ぎに行くのではなく、絶対に接触しないし、接触したと誤審されることもないような距離で手だけ挙げておくという選択肢がありました。そうすると、相手にかかるプレッシャーは弱くなるので、シュートを決められるリスクは高くなります。一方で、ファウルと誤審されるリスクはかなり低くなります。
前述したように、スリーポイントを決められても日本はまだ1点勝っていました。そして残り10秒で1点リードは圧倒的に有利な状況です。したがって、ストラゼルにスリーが打てる状況でボールが渡った時点で「決められてもしょうがない。ファウルだけはしない」という方針に切り替えるべきだったのかもしれません。
「あの判定は誤審だ」という意見と「絶対にファウルと宣告されないようなプレイを選択すべきだった」という意見は両立可能です。どちらかを主張したら一方が成立しなくなるようなものではありません。私としては、あのファウル判定は誤審だと思っていますし、日本としてはより勝率の高い動き方があったとも思っています。
さらに、本日は八村が負傷により日本代表チームから離れるというニュースも飛び込んできました。残念ですが仕方ありません。いずれにせよ、過去は変えられないので残されたブラジル戦での勝利を願うばかりです。