稀代の贋作画商の話

イライ・サカイは日本人を妻にもつイラン人の画商でした。彼はシャガール、ルノアール、ゴーギャン、モネといった超一流画家の作品を買い付けました。その後、名画を複製する技術をもった複数の画家をアメリカの自宅に呼び寄せました。

サカイは自宅に住まわせた画家たちに、所有する名画を複製させました。なにしろ目の前には本物があるのです。キャンパスのふちにある絵の具のしみまでまねた、精巧な複製品が出来上がりました。

サカイはこのようにして作らせた名画の贋作数百点を販売しました。売りに出されているのは完璧な複製。そして本物を買ったときに付いてくる鑑定書もあります。サカイは原画を手元に置いておきながら、贋作を売った金を手にしました。

サカイは販売先にも気を配っていました。すぐに転売しそうな相手ではなく、長い間保有しそうな企業等に販売していたのです。そして適当な期間をおいて、手元にある本物を販売しました。このとき、鑑定書は贋作を売る際に手放しています。そこで「紛失した」といって鑑定書を再発行してもらっていました。こうして彼は、1枚の絵を2回売ることに成功しました。

あるときサカイは、ゴーギャンの作品『花瓶の花』の本物を、オークション大手のサザビーズで売りに出そうとしました。同じ時期に、サカイから『花瓶の花』の贋作を買った購入者が別のオークション会社を経由して売りに出しました。

これを契機に、サカイの犯行は明るみに出ました。FBIの捜査により、同様の事例が複数発覚し、サカイの関与が認められました。2000年、サカイはFBIの手によって逮捕されています。この事件をきっかけに、原画の鑑定書を紛失しても再発行はされなくなりました。

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