オフィスで人がよく通る机の角に花瓶が置いてあります。通行中に花瓶を引っかけて倒してしまう事故が何度も起こっていました。今後事故を防ぐためにはどうすればいいでしょうか。
花瓶が倒れにくいように固定するとか、「花瓶があるので注意してください」など注意喚起するといった方法もあるでしょう。しかしそれでは根本的な解決には至りません。花瓶の位置を机の角ではなく、中央に移動すれば通行中に引っかけることもなく、根本的に解決するでしょう。
不適切な行動によって不適切な結果が起こることを防ぎたい場合、不適切な行動をとることを不可能にすれば解決します。「これをすると故障するのでやめてください」などと注意喚起するのは、根本的な解決ができないときの代替策です。
オートマチック車では、エンジンをかけてフットブレーキを踏んでいないと、シフトレバーがPの位置から動かないようになっています。これは誤操作で急発進などが起こらないようにするためです。ドライバーの理性や注意力に依存するのではなく、システムによって不適切な行動を不可能にしているのです。
乳幼児が薬を誤飲する事故を防ぐために、「CRSFに関する規格」というものが定められています。CRSFとは”Child Resistant & Senior Friendly”の略で、乳幼児には開封困難で、高齢者には開封可能という意味です。
例えば欧州の規格では、以下の子どもと成人に対する試験をクリアすることが求められます。
【子ども試験】
男女ほぼ同数の年齢42~51カ月の子ども30〜200人で構成されるグループに対して、十分な数の包装容器を与え、好みの手段で開封させる。5分以内に包装容器から内容物を取り出せなかった場合には、監督者が実演して見せ、さらに5分間の時間を与える。
欧州規格のテスト方法にもとづき10分以内に一定数の子供が内容物を取り出せない場合適合とみなす。
【成人試験】
年齢50~70歳の男女(3:7)100人に対し、包装容器および包装容器の開封説明書を与え、5分間包装容器について習熟させる。
その結果、90%以上の被験者が1分以内に1個以上を取り出すことができた場合、適合とみなす。
※試験の内容はグラクソスミスクライン株式会社のウェブサイトから引用
工場では機械に巻き込まれる事故が後を絶ちません。事故防止策として稼働中の機械に近付かせないことが考えられるが、これは個人の心がけに依存するものです。
ふたつのボタンを同時に押している間だけ稼働する仕組みになっているような機械があります。ボタンは両腕を高く掲げてバンザイのポーズをしないと押せないような位置にあります。バンザイをしてふたつのボタンを押している間は、機械に近付くことは不可能です。機械に近付くためには、ボタンから手を離さなければなりませんが、そのとき機械は停止しています。
このように、関わる人の能力・感情・体調等に一切左右されず、不適切な行動を不可能にすることで、容易に事故を防ぐことができるのです。