いまやひとたび外に出れば、皆スマホを見ています。電車やバスであれば体感で7割くらいの人はスマホを見ています。かくいう私も電車内ではスマホを見ていることが多いです。
スマホを見るという行動は、多くの場合習慣によるものです。「さあ、スマホを操作するぞ」と強い意志をもっているわけではなく、 手持ち無沙汰になったとき、それまでの行動に一区切りついたときなどに、ほとんど無意識のうちにスマホを手に取っているのです。
こうしたスマホを見ている時間を減らしたいと思っている人もいるでしょう。私もそのひとりです。心理学者のグロリア・マークはその著書『ATENTION SPAN』で、スマホやネットへの依存から抜け出すために「メタ認識」を活用することを提唱しています。
メタ認識とは、自分の行動やその動機をより深く検討するための分析的な考え方です。自分の行動を客観的に観察することによって、習慣化された行動を意識的なレベルに引き上げる効果があります。
スマホを手に取ってSNSを見ようとするとき「今からこのページを見ることで何を得られるのか」と自問するのです。ページを見ている最中であれば「このことにどれだけ時間を費やしたか。このサイトを見続けることによって何を得られるのか」ということを考えます。
このように自問することによって、無意識の受動的な行動を能動的なものに変えることができます。他人から「そんなものを見て何になるんだ」と言われると、私たちは反発したくなります。頭では「確かに不毛なことに時間を使っているな」と思っても「私の勝手だろう」「そういうあんただって同じことをやってるんじゃないか」と言ってしまうものです。しかし自分からの問いには反発できません。素直に問いの意味を考えることができるでしょう。そして、SNSやネットニュースのサーフィンから抜け出し、自分にとって本当に価値あることに時間を使えるようになるでしょう。
仕事に必要な調べ物のためにネット検索をした際、ふとその仕事には直接関係ない、個人的に興味を惹かれるネットニュースが目に飛び込んできたとします。そこで「ちょっと見てみるか」とクリックする前に「今するべき仕事を中断までしてみる必要があるか?」と自問してみましょう。
自問したものの「でもちょっとくらい見ても問題ないだろう」という結論に達し、結局そのニュースを見てしまうこともあるでしょう。しかし何度か失敗したくらいで「メタ認識なんて効果がない」と思わないでください。
メタ認識というのはトレーニングのようなものです。慣れないうちはうまくいかないこともあります。しかし何度か繰り返しチャレンジすれば「今どうしても見なければいけないものでもないな。必要な調べ物を進めよう」という結論に達し、ネットの沼にはまらなくなります。