後発ビデオ会議アプリがトップに立つ

アメリがカの大手IT企業シスコシステムズ(シスコ)は、2007年にビデオ会議アプリの開発・販売などを行うウェベックス(Webex)社を買収しました。このとき、ウェベックス開発チームにいた中国出身のエリック・ユアンもシスコに移りました。シスコに買収されてから、ウェブ会議アプリ「ウェベックス」はシェアを拡大しました。

ユアンはウェベックスの改善という課題に取り組んでいました。ユアンは顧客へのヒアリングを行いますがのちにこのように語っています。「顧客とのミーティングが終わるといつも落胆していた。誰一人としてウェベックスに満足していなかったのだ」。

しかしシスコはウェベックスの改善に積極的ではありませんでした。「売れればよい」というシスコの考え方に納得できなかったユアンは、2011年に仲間のエンジニアを引き連れてシスコを辞職し、使い勝手のよいビデオ会議アプリの開発のためにシリコンバレーで起業します。

このとき、ビデオ会議市場にはスカイプ、マイクロソフトチームス、チームビューワーといった競合がひしめいていて、飽和状態にありました。

ユアンは開発拠点を中国に置きました。中国の人件費は上昇しているとはいえ、シリコンバレーのそれよりは圧倒的に安い。開発拠点である合肥地域のエンジニアと、シリコンバレーのエンジニアでは人件費に約3倍の開きがありました。この人件費の違いは、利益に直結します。

またユアンはセールスに重点を置きました。「社員全員がセールスパーソン」という方針のもとに、職種やポジションにかかわらず全社員が自社製品を売り込むことを義務としました。

ユアンの製品の個人ユーザーは2019年に1000万人に達しました。その1年後、世界的なパンデミックが発生します。その影響でこれまでビデオ会議を使わなかった人たちも、こぞってユアンの製品を使うようになりました。2020年3月にはユーザーが2億人に達したとされます。

ユアンの製品の名前は「Zoom」。多くの既存ビデオ会議アプリを差し置いて、今ではビデオ会議のことを「ズームする」というようになりました。

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