慣性の法則にしたがう人たち

物理学で「慣性の法則」とは「運動中の物体は運動を保持しようとし、静止中の物体は静止し続けようとする法則」を意味します。

人間の行動にも完成の法則が当てはまります。ひとたび私たちの考えが特定の方向に向かうと、何らかの外的要因が作用しない限りその方向を向き続けます。

「今の職場は給料が安く職場環境も良くない」と不満を漏らしながら、辞めずにその仕事を続けている人は多数います。恋人に関して愚痴ばかりいっているのに、別れずに関係を継続している人もたくさんいます。これらの人々は完成の法則に従っているといえます。

人が完成の法則に従って、変化を好まないのにはいくつか理由があります。まず労力の問題です。不満がある職場でも、時間までに出勤して退勤時間まで大きなミスをせずにやり過ごせば、一定の給料はもらえます。一方で、転職先の候補を探して応募先を選定し、面接等の選考を受けるのは多大なエネルギーを要します。そこで多くの人は惰性で現在の職場に通い続けます。

もうひとつの理由として、変化する道を選択したときに現状より好転する保証がないということが挙げられます。嫌な職場を辞めて転職したとして、現状より給料・人間関係・職場環境が良くなるかどうかは未知数です。契約時の給料は交渉の余地があるかもしれませんが、その後の昇給は勤め先の状況とあなたの働きによって変わってくるでしょう。面接時に「ここならやっていけそうだ」と思ったとしても、実際に働いてみてわかることの方がはるかに多いはずです。

わざわざ変化を起こしたにもかかわらず、今よりも状況が悪化したとしたら激しく後悔するでしょう。そのときの精神的ダメージは、現状維持で状況が悪くなった場合よりも大きくなると考えられます。

慣性の法則に妨げられずに能動的に変化を起こすためには、あまり未来の不確定な事象を考え過ぎないことが重要です。「今の職場を辞めたら」「今の恋人と別れたら」「今の住居から引っ越ししたら」・・・人は現状を変えることを検討するとき、その後どうなるか予想します。とはいえ、未来は不確定要素が多すぎて正確に予想することは困難です。さらに人は往々にしてこういったとき、ネガティブな想像をする傾向があります。

「同僚が嫌なやつばかりだったら」とか「転職したところが早々に潰れたら」など、ネガティブな想像をしだしたらキリがありません。そのような不確定な想像によって意思決定が妨げられるのは合理的ではないでしょう。何らかの根拠に基づいた予測であればよいのですが、根拠薄弱な想像を膨らませるのはやめておいたほうが得策です。

大きな変化を起こす前に、小さなステップを踏むことも有効です。転職先候補に応募メールを送るのは大きなエネルギーを要します。その前に「転職情報サイトにユーザー登録する」「転職先候補の求人ページをお気に入り登録する」といった、比較的小さなエネルギーで実行できることから着手してみましょう。

その後は「1日10分転職情報サイトを閲覧する」「履歴書の下書きを作ってみる」など、次のステップとなる行動をとってみます。このように段階を踏んで行動することによって、最終的に大きな変化につなげることができるのです。

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