いまいくら?

私たちは「今、合計金額はいくらなのか」ということがわからない状態で、合計金額を積み上げていくことがあります。例えば、スーパーマーケットで大量の買い物をしているとき「今だいたい3,000円くらいかな」といった概算はわかるかもしれませんが、10円単位、1円単位までは把握できていないでしょう。

途中段階での合計金額がわかるかどうかで、最終結果がどう変わるのでしょうか。それを確かめるために、次のような実験がおこなわれました。被験者はカートをもって、店内で買い物をします。グループAの被験者は、カートに専用タブレットが入っていて、カートに商品を入れるごとにその時点の合計金額がわかります。グループBの被験者は、タブレットを使用しません。したがって、その時点で合計いくらになっているかは把握できません。

事前に予算を決めていた場合、タブレットを使った被験者は、平均42ドルを使いました。一方で、タブレットを使わなかった被験者は、平均34ドルしか使いませんでした。タブレットを使ったグループは、商品を入れるごとに金額がわかるため、決めていた予算ギリギリまで使うことができたようです。タブレットを使わなかったグループは、途中で合計金額がわからないので、予算を超えないようにという気持ちが強く働きました。

これについては、私もその気持ちがわかります。よくいくスーパーでは、電子マネーを使ってキャッシュレス決済を利用しています。その際、電子マネーの残高が2,000円だったら、買い物は2,000円以下に収まるように注意するのですが、大抵の場合会計時の金額は2,000円を大きく下回っています。2,000円ギリギリを狙って、うっかりオーバーしてしまうと、いったんレジを離れてチャージする必要があり、そのような手間はかけたくないですからね。

では、事前に予算を決めていない場合はどうなったと思いますか。予算を決めていない場合、タブレット使用組は平均41ドル使ったのに対して、不使用組は平均55ドル使いました。途中経過がわからない方が、会計時の金額が大きくなったのです。上限金額を決めていない場合は、途中で金額が目に入ることによって、支払いを抑えたいという心理が働いたと考えられます。

途中で合計金額がわかることによる影響は、予算を決めているかどうかで変わってくるということがわかりました。

スーパーでは「今日は〇円まで」といった形で、予算を決めて買い物をする場合が多いでしょう。そうすると、予算枠ギリギリまで使い切ってもらうために、途中で合計金額がわかる仕組みを導入すると、売上アップにつながるかもしれません。

一方で、居酒屋の場合は、スーパーほど厳密に予算を決めていない場合が多いと思います。そういった店では、途中経過がわかる仕組みは導入しない方がいいかもしれません。途中で合計金額を見て「もうこんな金額になったのか。もう少し飲みたかったけどお会計にしようかな」となってしまう可能性があります。

客が楽しくなって、普段よりも多く注文してほしいと思うならば、店としては途中で値段を見せるような愚行は慎んだ方がいいでしょう。

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