今日はどの服を着ていくか、どのルートで仕事に向かうか、どの順番で仕事を進めていくか。これらの決断を下すたびに、脳は疲労します。ひとつひとつの負担は少なくても、積み重なると一定の悪影響を及ぼすようになります。
そんなとき、習慣が私たちの脳の負担を軽減してくれます。人間の行動の45%は習慣でできていると言われます。習慣に基づいて行動するというのは、車でいえば自動運転のようなものです。運転手である脳は、自動運転の最中は運転を休むことができます。
習慣は便利なものですが、創造性の観点から考えるとマイナスの影響もあります。駅までいつもの道を歩き、電車の中でいつものゲームをやって、いつもの店でいつものドリンクを買って出勤する。このように習慣で動いている間は、自分がやっていることに対して無意識になります。しかし、無意識であるがゆえに、創造的なアイデアを思いつくチャンスを逃してしまうこともあります。
作家でありアーティストでもあるロッド・ジャドキンスは、ロンドン芸術大学の学生たちにこんな課題を与えました。まず、大学周辺の地図を買ってもらいます。地図の上にガラスの板を置いて、円を描きます。地図上の円を、学生たちに実際に行ってもらいます。その際、引かれた円から外れてはいけません。
学生たちは今までにない体験を得ることになります。円周上に家や事務所があれば、ドアをノックして中を通してもらえるように頼みました。宮下あきらの名作漫画『魁‼男塾』に「直進行軍」というイベントがありましたが、それを思い出しました。
「直進行軍」で、塾生たちは教官から示された方向にひたすら直進します。そこに家があろうが、ヤクザの事務所があろうがお構いなしです。ジャドキンスのアイデアは「インテリ直進行軍」といったところでしょうか。
学生たちは、円周上のロンドンの街を巡ることによって、普段会わないような人に会い、普段は入れないような建物に入りました。彼らは今までになかった街の顔を知り、新たなアイデアへのきっかけを得ることができました。
仕事やプライベートでマンネリを感じている人は、習慣化された行動の一部を意図的に変えてみるといいでしょう。駅までの道を少し変えてみるだけでも、今まで気付かなかった街の顔を知ることができます。
カフェで作業しているのであれば、いつもとは違う店にすると、気分が変わって新しいアイデアを得ることができるかもしれません。以前勤務していた会社は、誰でも自由に使えるワークスペースがあって、その日の気分によって席を変えていました。
職場によっては、決められた席以外で仕事ができないこともあるかもしれません。そんな場合、PC・モニター・小物等の配置を少し変えてみてはどうでしょうか。それだけでも、刺激になって気分転換になると思います。