私が小中学生くらいの頃は、部活動において非科学的な通説がまかり通っていました。中学校のバスケ部顧問は「筋トレをすると背が伸びなくなるからやるな」と言っていました。
これにはまったく科学的な根拠はありません。もちろん、中高生くらいの時期はまだ骨格も成長中ですから、骨や関節に過度な負荷がかかるような筋トレはやめた方がいいでしょう。しかし、中高生が適度な負荷をかけて筋トレすることが、身長の伸びに影響を与えることはありません。
筋肉量が同じであれば、身長が低い方が太く見えます。そのため、筋肉ムキムキに見える人というのは比較的身長が低い人が多いのです。そこから「筋トレをすると身長が伸びなくなる」という誤った結論を見出していたのでしょう。
小中学校の部活では「罰走」という制度もありました。怠慢プレイをしたときなどに、罰として一定の距離を走らされるのです。選手が怠慢プレイをしたときは、その場面でよいプレイができるような練習すべきです。校庭を10周したところで、怠慢プレイの改善に直接はつながらないでしょう。
「練習中に水を飲んではいけない」という風潮もありました。部活の休憩時間中、顔を洗うことは認められていたので、顔を洗うふりをしながら両手にたたえた水を口に放り込んでいたものです。プロ野球選手の高校時代の話で「練習中一切水が飲めなかったので、トイレの水を飲んだ」などというとんでもないエピソードを目にしたこともあります。
私が小学生だったとき、やたら暑い日があって皆かなりバテていました。それでも水も飲まず頑張っているときに、顧問から集合がかかりました。みんなで顧問の話を聞いているとき、Hくんが青ざめていて、かなり具合が悪そうな顔をしていました。顧問が「H、どうした。大丈夫か」と声を掛けます。Hくんはまったく大丈夫そうではない口調で「大丈夫です・・・」とつぶやきました。
しかしその数秒後、Hくんは「うっ!」とうめいたかと思うと、両手で口元を抑えながらダッシュで外へ出て行きました。それを見た顧問は言いました。「見たか、おまえら?あれくらいになるまでやらないとダメだぞ」と。
全員が同じメニューをこなして、Hくんは具合が悪くなって離脱。他のメンバーは、それぞれ疲労はあるもののまだ続けられる。この状況で「おまえら、Hを見習え」というのは、今考えれば意味がわかりません。そもそも、顧問としてはそのような状態にならないように管理する必要があります。
時は進んで現代では、運動中の適度な水分補給は常識となりました。趣味で続けているバスケでも、適宜水分や塩分の摂取は欠かしません。ただ、小学生時代に限界が近づいて、こっそり飲む錆びた鉄の味がする水道水がやたらとうまかったのは事実です。今、運動中に水やスポーツドリンクを飲んでも、あのとき感じたうまさにはかないません。