一旦整理したいハラスメント

巷には「〇〇ハラ」という言葉があふれています。最初に登場したのは「セクハラ」ではないでしょうか。それまでは、性的な嫌がらせを受けていた人は「あの人、いつもさりげなく体を触ってくるけどいやだなあ」とか「あの人、職場で公然と性的な話をしてくるけどやめてほしいなあ」となんとなく思っていました。被害者が「こういうことをされているのだが、やめさせてほしい」と言われたときに、個別に検討して法令や組織内の規定に違反しているか確認して対処するしかなかったのです。

「セクハラ」という言葉ができてからは、被害者は「あの人のあの行為はセクハラにあたるのでは?」と認識することができるようになりました。組織はその行為がセクハラの定義に該当するか検討し、該当すると判断すれば「セクハラなので改めてください」と対象者に注意することができます。

セクハラに続いて「パワハラ」や「モラハラ」という言葉もできて、広く認知されるようになりました。私もこの辺りまでは理解できるのですが、最近ではより多様なハラスメントが「〇〇ハラ」という言葉で定義されています。

ネットで「ハラスメント 種類」というワード検索をすると、多くの解説サイトがヒットします。とある人事情報発信メディアサイトでは、39種類のハラスメントが掲載されています。

複数のサイトを見て気になったものを紹介します。

リストラハラスメント
リストラ対象者に嫌がらせをしたり、不当な配置転換をしたりして追い詰めて、退職に追い込むこと。

「パワハラでよくない?」と思ってしまいます。パワハラのカテゴリーの中にリストラハラスメントがあると理解すればよいのでしょうか。

ジェンダーハラスメント
一般的な性のイメージを押し付けること。「男なのに力がないね」「女なのに料理できないの」といった発言はジェンダーハラスメントにあたる。

テクスチュアルハラスメント
文章上での性的な嫌がらせのこと。本人がいないときに付箋に「かわいいね」などと書いてデスクに貼り付ける行為はテクスチュアルハラスメントにあたる。

ラブハラスメント
恋愛や性の話題を公共の場に持ち込むこと。

全部まとめてセクハラではだめなんでしょうか。他にも紛らわしいハラスメントがあります。

エアコンハラスメント
職場の温度に関する嫌がらせ。「極度の暑がりの人が、他の人が寒がっているのにエアコンの温度を必要以上に低くする」といった行為はエアコンハラスメントに該当する可能性がある。

エアーハラスメント
雰囲気を壊す言動によって周囲の空気を壊してしまうこと。真剣な話をしているときに、茶化してまともに対応しないのはエアーハラスメントに当たる可能性がある。

どちらも「エアハラ」と略すことができて紛らわしいですね。それと、エアーハラスメントをする人を非難すると、「空気を読むことを強要された。逆エアーハラスメントだ」と主張されるかもしれません。

お菓子ハラスメント
特定の人だけにお菓子やお土産を配らず不快な思いをさせること。旅行に行ったときに会社にお土産を持ってくることを強要することもお菓子ハラスメントにあたる。

以前勤めていた会社では、出張から帰ってきた社員が「お土産のお菓子を〇〇に置いてあるので皆さんでどうぞ」と社内チャットで告知するのが慣例になっていました。これに関して人事から「出張のお土産を会社に持ってくること自体はよいのですが、社内チャットで告知すると他の人が『自分が出張に行くときもお土産を持ってこなければ』とプレッシャーに感じてしまいます。お土産を会社に持ってくるかどうかは任意ですから、余計なプレッシャーを与えないようにチャットでの告知はやめましょう」という通達がありました。

個人的には他の人がお土産を持ってきたからといって、「自分もお土産を買わなければ」なんてことは一切思いませんでした。しかし、世の中には繊細な人もいますから、こういう通達を出す必要があるんでしょうね。

ロジカルハラスメント
過剰に正論を突きつける嫌がらせ。仕事において論理的であることは重要だが、感情面の配慮も必要となる。部下や後輩から仕事の悩みを相談されて「あなたの問題点はAとBだ。それぞれこのようにして解決すればいい」と一刀両断に言ってしまうと、ロジカルハラスメントになりかねない。

ロジカルハラスメントは取り扱いが難しいですね。パワハラの一種と考えればいいのかもしれません。単に正論を突きつけるだけではロジハラとは言えないでしょう。それがパワハラの定義に当てはまるのかどうか、具体的な事例を見て検討する必要があると思います。

Google検索で「ロジハラ」と打ち込むと、関連ワードとして様々な言葉が出ています。これを見ると、他の人もロジハラという言葉に戸惑っていることが伺えます。

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