私の盗難体験

カフェでパソコンを開いて作業をしている人が、少し席を外す際にパソコンをそのままにしているのを見かけることがあります。持っていかれたらどうするんだろうと気になります。「日本は治安がいいのでそういうことは滅多に起こらない」と思う人もいるかもしれません。私の場合、パソコンではなく現金を盗られたことがあります。カフェではなくスポーツクラブで。

盗られたのに気づいたのは、スポーツクラブを出てコンビニに寄ったときです。財布を取り出して、札入れに目をやるとなんとなく枚数が少ないと感じました。数えてみると、万札が7枚入っているはずが4枚しかないのです。

財布に7万入っているというのは、私からしてはかなり多い方です。それまではだいたい2万前後くらいしか財布には入れていませんでした。そのとき、ちょうど実験をしていたのです。月初にその月に使う金を全額おろして1か月生活するという実験です。「お小遣い」ということではなく、食費・被服費・交通費・交際費・趣味/娯楽費・医療費等、一か月にかかるお金すべてを月初におろした金額内でやりくりしようというものでした。

何度数え直しても3万円足りません。いきなり実験の計画が狂ってしまいました。一体どこで3万円失ったのか。心当たりはスポーツクラブしかありませんでした。入館してからのことを思い出してみました。

ロッカーで着替えた後で、何か用があって一度ロッカーを出てフロントまで行きました。その際、鍵をかけ忘れたかもしれません。再度ロッカーに戻ってからは鍵をかけたはずです。その後、トレーニングが終わってシャワーを浴びて着替えてスポーツクラブを出て、コンビニに寄りました。

おそらく、一度ロッカーを出てフロントに行った1, 2分の間に、犯人はロッカーを開けて財布から3万円を抜き取ってまた閉めたのでしょう。私はコンビニで財布を取り出すまで、事態に気付くことができませんでした。

ロッカーの中のものを盗むには、鍵をかけずに荷物を置いてあるロッカーを特定しなければなりません。手あたり次第にロッカーを開けていたら目立ちます。私が少しロッカーを離れたときに、鍵をかけていなかったのを見て犯行に及んだのでしょう。

しかし、これほど手際よく盗むのは難しいものです。私がロッカーに鍵をかけずに移動したのを発見したとしても、いつ戻ってくるかはわかりません。荷物を漁っているときに私が戻ってくる可能性だってあるわけです。そこで鉢合わせしたら言い訳できないでしょう。

私が戻ってこないとしても、知らない人のロッカーを勝手に開けて財布から金を抜くのは勇気が必要です(勇気と呼んでいいのかわかりませんが)。周りの客は、誰がどのロッカーを使っているかなんて把握していません。したがって、泥棒が他人のロッカーを開けて財布を物色していたとしても、「彼は自分のロッカーを開けている」と認識して気にも留めないでしょう。

理論上はそういうことになりますが、いざ実行に移すときのことを想像してみてください。他人から見れば泥棒には見えないといっても、「今自分は泥棒をやっている」と思えばなかなか平常心ではいられません。平常心を失えば、挙動不審になって怪しまれるかもしれません。

それに、私が通っているのは会員制のスポーツクラブです。会員は全員、免許証等の本人確認書類を提出して身分を明かした人たちです。ほぼお互いがお互いを知らない状態の銭湯などとはそこが違います。自分の身元が知れている場所で、堂々と犯行に及ぶというのも信じられません。

そんなことをいくら考えたところで、お金は戻ってきません。コンビニで気付いた時点で、スポーツクラブに申し出ても、手続きが面倒なだけでお金は出てこないでしょう。私は約1か月間の全支出を4万円で賄えるよう計画変更を余儀なくされました。おかげで節約術や我慢することは覚えられました。この月以来、「月初に決まった額をおろして1か月そのお金でやりくりする」という手法をとることはなくなりました。

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