昔はよかったと言うけれど

2023年夏の甲子園は、慶応高校が優勝を果たしました。慶応高校は、野球の内容以外でも話題になりました。令和の時代になっても、高校球児には丸刈りというイメージがありますが、慶応は非丸刈りです。今年の甲子園では出場した49校のうち42校、約86%が丸刈りだったそうです。

また、慶応高校の監督は選手の自主性を重んじる方針で、練習内容に関しても選手からの提案を積極的に取り入れていました。スポーツ雑誌「Number」のウェブ記事によると、それは2019年の取材での出来事。監督が、一死一・二塁のときの守備隊形、外野にボールが飛んだときの連携について、ホワイトボードを使って説明していたときのことです。当時のキャプテンが「監督、この練習はあまり必要ではないと思うんです」と提案してきました。監督は「確かに面白くないようだったら、それは省いてもいいね」と言って、提案を受け入れたそうです。

私が中高生のときには考えられないことです。私はバスケ部でしたが、練習メニューについて顧問の先生に提案するなんて想像すらできませんでした。当時はそんな次元の話ではなく、教師からの暴力も珍しくなかったですからね。

中学時代のある日、バスケ部の顧問が部員を集めて話をしていたとき、私はうっかり隣のコートのバレー部の方を見ていました。すると顧問は「どこ見てるんだ!」と言って私を押し倒し、数発キックをかましてきたのです。よそ見をしていたのは私が悪かったですが、さすがにキックはやりすぎでしょう。

今なら到底容認されないような話が、昔の教育現場ではありました。中学3年生の冬、放課後に友人のFと廊下を歩いていたときのことです。Fが突然、「なんだコラ」と言って、別の生徒のところに詰め寄っていきました。私は気付かなかったのですが、その生徒がFのことを睨みつけてきたらしいです。

その生徒は一学年下の中学2年生で、割と不良寄りのタイプでした。Fはバリバリの不良という感じではなかったのですが、やや不良寄りで少し短気なところがありました。二人は睨み合いながら「何ガンつけてんだ」「あ?」といった感じで一触即発です。温厚な非戦闘民族だった私は、ぼーっとその光景を眺めることしかできませんでした。

殴り合いが始まる前に、T先生がやってきてその場は収まりました。T先生はバリバリの武闘派で、不良生徒の扱いには定評がありました。Fと後輩はそれぞれT先生の事情聴取を受けて、帰らされました。

しかし二人の間の火種は収まっていませんでした。その後も、校内でニアミスを起こして小競り合いが始まるということが何度かあったようです。

そこでT先生は一計を案じました。二人を呼んで、こんなことを言ったそうです。「おまえら、俺が立ち会うからタイマンのケンカをしろ。その代わり、それが終わったら結果がどうあれ、すべて水に流せ」と。

今だったら大問題ですね。「生徒を外に立たせるのも体罰」とか言ってる人が聞いたら、泡を吹いて倒れるんじゃないでしょうか。教師の目の前で生徒同士を戦わせるなんて、前代未聞です。ヤフーニュースになって、コメント欄は大荒れになるでしょう。というか、当時でもアウトだとは思うのですが・・・

二人はT先生立ち会いのもと、校庭でタイマンを行いました。タイマン後は二人とも顔などに傷を負いながら、照れ笑いを浮かべて和解したそうです。慶応高校では絶対に起こらないであろうエピソードでした。

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