ダブルチェックは効果があるか

職場でミスが発生すると、再発防止策が講じられます。対策として人気なのが「ダブルチェック」です。これまでひとりがチェックしていたものを、ふたりでチェックしてミスを防ごうという考え方です。

ダブルチェックが人気なのは、汎用性があるからです。ミスの根本的な原因を突き止めなくても、とりあえず「今後はダブルチェックでミスを防ぎます」と言っておけば恰好がつきます。

しかし「ダブルチェック体制を敷いたから今後はもう安心」というわけにはいきません。ダブルチェックには弊害もあります。

一人目がチェックするとき「万一ミスを見逃しても二人目がいるから大丈夫」と思っていると、ひとりでチェックするときよりもミスを見逃すリスクが高まるでしょう。

また、一人目がチェックを終えて「たぶん大丈夫だと思いますが、ダブルチェックお願いします」といった感じで二人目にチェックを依頼したとします。二人目は、そこまで真剣にチェックしない可能性が高まります。

二人のチェック者が、お互いを信頼してチェックが甘くなってしまったら、ダブルチェックの意味がありません。ひとりが真剣にチェックに取り組んだほうがまだマシかもしれません。

私が以前いた会社では、営業事務スタッフが顧客に対する配送ミスをしてしまい、対策としてダブルチェックをすることになりました。ところが、当時営業事務はミスをしたスタッフひとりだけ。営業スタッフはほぼ外回りでオフィスにいませんでした。

そのため、ダブルチェックをするのはオフィスにいる別部署のスタッフということになります。私も何度か「これから顧客あて荷物の発送をするのでダブルチェックお願いします」と依頼されたことがあります。

私にとっては、馴染みがない業務であり、しかも自分の仕事をしている途中に呼び止められて以来された仕事です。ダブルチェックというルールは知っていましたが、正直いって真剣に取り組むことはできませんでした。

データベースに記載された顧客と発送する品物の一覧と、これから梱包する品物が一致しているか、過不足はないかをチェックする作業です。ただ、私はその業務について専門でやっているわけではないので「この顧客にこれを発送するのはおかしい」とか「この品物を送るのであればあの品物も送ってしかるべきだ」といった勘は働きません。単に機械的に作業をするだけで、本当にこれがミスの対策として機能しているかは疑問でした。

ダブルチェックをするのであれば、その業務に対して一定の責任をもつ人をチェック者にすべきでしょう。過去の私の例のような人がチェックをしても「まあ大丈夫でしょう」と思ってよく考えずにOKのサインを書くだけになります。

また、二人目のチェック者は、一人目の先輩や上司など立場が上の人が望ましいでしょう。これが逆になると「先輩(上司)がやったことだから大丈夫だろう」とか「これおかしいと思うんだけど、最初のチェックに引っかかってないってことは何か事情があるのかな・・・指摘したらバカだと思われるかも・・・」といった雑念が邪魔して、正しくチェックできない可能性が出てきます。

ダブルチェック自体に効果がないと言いたいわけではありません。ただし、それ以外に効果的な対策はないか考えることは必要でしょう。検討の結果、ダブルチェックが必要という結論に至った場合も、それを効果的に機能させるための人選や作業手順作りは必須となります。

コメントを残す