オフィス環境を工夫して生産性を向上させる

オフィスの環境は、組織によって異なります。仕事に必要なもの以外は一切存在しない、無駄を削ぎ落したオフィスもありますし、業務とは直接関係のないものが豊富に置かれているオフィスもあります。

私は両方のタイプのオフィスで働いたことがあります。あるオフィスは、パソコンとモニターと、定められたマニュアル、そして蓋つきの飲み物以外はデスクに置くことが許されませんでした。また、観葉植物や絵なども一切置かれていませんでした。

また、家族の写真や好きなアニメのフィギュアなど、スタッフがそれぞれ思い思いのアイテムをデスクに飾り立てているオフィスでも働いていました。明らかに仕事とは無関係の書籍や漫画を置いているスタッフもいましたが、誰も問題にはしていませんでした。オフィス内には観葉植物や、社内イベントの写真などが貼られていました。

心理学者、クレイグ・ナイトは、オフィスの環境と生産性の関係を研究していました。実験で、被験者をふたつのグループに分けて、書類チェックやデータの処理といった一般的なオフィスの作業に取り組んでもらいました。

ひとつのグループは、無駄を削ぎ落したオフィスで作業に取り組みます。作業に必要なものは一通りそろっていますが、仕事と関係ないものはありません。何の飾り気もない殺風景なフロアでタスクを勧めます。

もうひとつのグループも、作業に必要なものは一通りそろっています。最初のグループと違って、壁に絵が掛けられていたり、観葉植物が置かれていたりしました

作業の生産性を比較したところ、後者の方が約15%高いという結果になりました。ナイトは「無駄を削ぎ落した環境は、流れ作業の工場のような仕事には向いているかもしれないが、認知力や想像力を発揮するような仕事には向かない」と語っています。

さて、ナイトは別のグループでも実験をしていました。2番目のグループでは、絵や観葉植物が決まった場所に置かれていましたが、3番目のグループでは被験者が何をどこに飾るか選べるようにしていました。

3番目のグループは、最も高い生産性を発揮しました。2番目のグループよりも約15%高いという結果でした。生産性が上がった要因は、自主性です。3番目の被験者たちは、与えられた環境ではなく、自分たちの意思でカスタマイズされた環境で仕事に取り組みました。「自分で環境をコントロールできる」という気持ちが、仕事のモチベーションを上げて、さらに生産性の向上につながったのでしょう。

3番目のグループでは、結果として2番目のグループと同じようなオフィスのレイアウトになったケースもあります。それでも、運営側から与えられた環境ではなく、自分の意思で作った環境ということが、被験者にとっては大きな意味がありました。

上記の実験結果には、組織のスタッフに気持ちよく働いてもらうためのヒントが詰まっています。個々のスタッフにカスタマイズさせても差し支えないものがあれば、できるだけその権限を与えてみるとよいでしょう。

権限の実態としては大したことがないものでも、「自分の意思でカスタマイズできる」という満足感を与えることができます。それが生産性の向上に寄与するのであれば、組織としては嬉しいことでしょう。

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