呼称におけるマイナーとメジャー問題

複数の要素を表す名詞が、その中にある特定の要素を表すことがあります。例えば、「茶、お茶」というのは緑茶、麦茶、紅茶、ウーロン茶などの様々な茶類の総称です。それと同時に、茶類の中でも特に「緑茶」あるいは「麦茶」を意味します。日本で「お茶ください」といえば、季節や状況に応じて緑茶か麦茶が出てくるでしょう。かなり特殊な環境でないと、「お茶ください」とだけ言ってルイボスティーが出てくることはありません。

「パスタ」とは、スパゲティ、マカロニ、ペンネ、ラザニア等、イタリア語での麵食品の総称です。また、特にスパゲティのことを指します。日本で「今日はパスタよ」と言われたら、普通はスパゲティが出てきます。そこでマカロニサラダを出したら「あれ、パスタは?」と聞かれることでしょう。

「お茶」と「パスタ」は、個別の要素の中で最もポピュラーなものが、複数の要素の代表になった例です。

上とはまた別のお話。職業や立場を表す名詞の頭に性別をつけることがあります。「女王」「女医」「女刑事」「女社長」「男性保育士」「男子新体操」など。いずれも、特定の性別が占める割合が多い職業などで、少数派の方の性別である場合に使われます。多数派の場合は、わざわざ「男王」「男刑事」「女性保育士」とはならず、単に「王」「刑事」「保育士」と呼ばれます。

「俳優」も女性の場合は「女優」と呼ばれることが多かったのですが、最近は女性の場合でも「俳優」という表記になりつつあります。女優に関しては、上に挙げた例とは少し事情が違うように思えます。

調査機関や調査のあった年はそれぞれ異なりますが、警察官に占める女性比は6.8%、医師に占める女性比は22.8%で女性がかなり少ないことがわかります。ファイナンス・経営学の専門家である山口浩が公表したデータによると、ドラマに出演した俳優のうち女性が占める割合は約42%でした。男性の方が多いことは確かですが、そこまで大きな差ではありません。

※山口氏は、Yahoo!テレビで2017年7月13日から19日までの期間に東京で放映されたキー局各社の実写テレビドラマを視聴してこの調査を行いました。リンクはこちら。滅茶苦茶根気が必要とされる調査ですね・・・

俳優という職業において、女性はマイナーな存在だから女優と呼ばれるわけではないと個人的には考えています。一種の憧れや尊敬の念をこめて、女性の俳優には特別に「女優」という呼称を使っているのではないでしょうか。

とはいえ、こういった性別を強調するような呼称は極力排除しようとするのは、今の時代の流れから考えると致し方ないことかもしれません。

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