今から20年以上前は、ネット回線のスピードが遅くコンピューターの性能も低かったので、ウェブサイトを開くのに時間がかかることがありました。容量の大きい画像があると、読み込みに数分かかることも珍しくありませんでした。
今は回線速度もハードの性能も格段に向上しました。当時よりもはるかに大きい容量の画像や動画も、スマートフォンでスムーズに読み込めます。しかし、ユーザーは今のスピードでも満足することなく、もっと早くなればいいのにと考えたりします。
Amazonでは、読み込み速度が1秒遅くなると年間約16億ドルの損失が発生すると言われています。たった1秒遅いだけで、待ちきれなくなったユーザーが離脱して、本来買うはずだったものを買わなくなるということです。
とにかく現代人は何事においても待てない傾向にあるようです。車の通行量が多い道を歩いているとそれを感じます。横断歩道を歩いていると、まだ渡りきる前なのにジリジリ近付いてくる車や、渡り切るや否や真後ろを駆け抜けていく車に出会うことがあります。
あれはやめてほしいですね。歩行者としては怖いです。そんなことをしても、交差点を抜ける時間は数秒くらいしかかわらないでしょう。歩行者を怖がらせて数秒だけ早く交差点を抜けたとしても、だいたいの場合次の信号で止まるので目的地に到着する時間は変わりません。
テレビを見る人が減って、youtubeなどの動画を見る人が増えています。総務省のデータによると、2000年から2015年にかけてテレビの視聴時間は緩やかな減少傾向にありました。特に10代から20代は著しく減少しています。それとは対称的に、インターネットの利用時間は増加傾向でした。
人々が「より早く、より便利に」ということを追い求めたことが、テレビ離れとネット利用時間増加につながっていると思われます。テレビの1時間番組を見るのであれば、放送時間中の約1時間テレビの前にいる必要があります。ネット動画であれば、興味がない場面はスキップできます。
いつでも見られてスキップもできる便利なネット動画ですが、「CMがわずらわしい」という人も多いです。昔はテレビで数分間CMが流れるのを黙ってみていたのに、今では6秒のCMすら待てなくなっているのです。さらに、6秒でなくて15秒、しかもスキップ不可のCMが出てきたらぶち切れる人もいます。
現代では、読書が続かない人が増えているそうです。時間がないわけではありません。時間があっても、本を開こうとする人がいないのです。確かに、今電車やバス、公共の場で本を読んでいる人を見かけなくなりました。みんなスマホを見ています。
かくいう私も読書量は減りました。昔は電車に1時間乗っていて、1時間ずっと同じ本を読み続けることもざらにありました。今では10分の乗車でも、本を読んでいる途中でスマホが気になって画面を開いてしまいます。スマホを開いた結果、新しい情報や有意義な情報を得られることはまれです。「今確認してよかった!」と思ったこともありません。そこで得られた情報のほぼすべてが、今じゃなくて1時間後、2時間後、半日後に確認していたとしても差し支えない情報です。
この「速く処理したい」という病を克服するべく、ある取り組みをしています。本を読むとき、重要だと思ったポイントに線を引き、ノートにも書き留めるのです。この読み方をすると、非常に時間がかかります。しかし、本当はこれくらいしないと本の内容は頭に入らないものです。
これまで多いときは年間で200冊程度の本を読んできましたが、その内容はほぼ忘れてしまっています。今は月に数冊程度しか読めていませんが、じっくり読み込むことによってその内容はしっかり頭に入っています。
また、じっくり読み込むアナログな方法を使うことによって、「より早く、より便利に」を求める傾向が少し抑えられた気がします。スピードに慣れ過ぎた脳にブレーキがかかっているのかもしれません。