「当て字」とは字の本来の用法を無視して、異なる語の表記に転用した漢字などの文字を意味します。以下は当て字の用例です。
・「運命」と書いて「さだめ」と読む
・「理由」と書いて「わけ」と読む
・「男性」あるいは「女性」と書いて「ひと」と読む
これらの当て字は歌詞でよく使われますね。また、国名にも無理やり感じを当てはめることがあります。
・亜米利加→アメリカ
・露西亜→ロシア
・英吉利→イギリス
・西班牙→スペイン
・希臘→ギリシャ
アメリカ、ロシアあたりはまだなんとなく読めそうです。イギリスあたりから怪しくなってきて、スペイン・ギリシャあたりは知らないとまず読めないでしょう。なぜそこまでして漢字を使いたいのか不思議です。
漫画のタイトルでも当て字が使われることがあります。『疾風伝説 特攻の拓』は、いじめられっ子だった主人公浅川拓がツッパリデビューを果たし、様々な不良たちと交わっていく物語です。タイトルは「かぜでんせつ ぶっこみのたく」と読みます。
『特攻の拓』は漫画のセリフでも当て字を多用しています。でっかいトサカのリーゼント頭がトレードマークの武丸はツルハシを引きずりながらバイクで走っているときに「”待”ってたぜェ!!この”瞬間”をよォ‼」というセリフを吐きます。漢字にはふりがながあって「まってたぜェ!!このときをよォ!!」と読めます。
まあ「瞬間」を「とき」と読むくらいはこの漫画ではかわいいものです。高校生とは思えない風貌のキャラ、鰐淵は「”事故”る奴は・・・”不運”と”踊”っちまったのだよ・・・」と語ります。「不運」には「ハードラック」、「踊」には「ダンス」というふりがなが振ってあります。「ハードラックとダンスっちまった」という読みになるんですが、これ耳だけで聞いても理解できないでしょうね。ただ、鰐淵さんは超強いので「ハードラック?ダンス??はい??」とは聞き返せません。曖昧な笑顔を浮かべて「そうっすねー」くらいしか返せないでしょう。
『特攻の拓』は割と有名な作品だと思いますが、今度は知っている人が少ないと思われる漫画タイトルの当て字を紹介します。立原あゆみ作、『恋人』です。なんと、「恋人」と書いて「いたずら」と読ませます。

これを読むと、「不運」を「ハードラック」と読ませるのくらいなんでもないことのように思えます。後者は英語にしただけですからね。「恋愛」と「いたずら」ってまったく無関係とは言い切れないものの、非常に関連が薄いと言わざるを得ません。一体作者はどういうつもりでこんな当て字にしたのか聞きたいですよね。そういうごく当然に疑問に対して、作者は単行本のカバー折り返し部分で説明をしてくれています。

人と夢がよりそう時、儚さが産まれます。
恋愛と書いてさえ、”いたずら”と読みたくなる。
そんな時でしょうか?歌が産まれます。
立原あゆみ
私は終始何を言っているのか理解できませんでした。「恋愛と書いてさえ、”いたずら”と読みたくなる。」とありますが、私にはその境地に達することができそうにありません。
ちなみに立原あゆみの代表作『本気!』(マジ!)も当て字が使われていますが、こちらは割と素直な当て字ですね。