ある実験で、被験者はクッキーの味見を依頼されました。被験者は24枚入りのクッキーの箱を受け取りました。半分の箱はクッキー24枚がそのまま入っています。残りの半分は、クッキーが1枚ずつ個包装されていました。
包装されていないクッキーを受け取った被験者は、完食するまでに平均6日かかりました。一方で、個包装のクッキーを受け取った被験者は、完食するまでに平均24日もかかりました。
なぜこれほどの違いが生まれたのでしょうか。クッキーを食べるためには、まず箱を開ける必要があります。ここまではどちらも同じ条件です。次の段階で差異が発生します。個包装されたクッキーを食べるには、包みを開ける必要があります。個包装グループの被験者は、1枚食べるごとに「包みを開けてもう1枚食べるべきか」という選択を強いられるのです。
別の研究では、現金支給の日雇い労働者にひとまとめで給料を渡すより、何枚かの封筒に分けて渡した方が貯蓄率が大幅に上がることがわかっています。封筒の中身が減っていくごとに、次の1枚に意識が向けられて、結果として節約につながるのでしょう。
クレジットカードは、財布の中の現金のように残額が目に見えるわけではありません。お菓子の包みや現金封筒のように、次に進むか考えさせるポイントがないのでつい使いすぎてしまうことがあります。クレジットカードの使いすぎを防ぐアプリがあるようです。利用額を簡単に確認できたり、利用額が一定の金額に達するとアラートを発したりする機能があって、それが仮想の封筒の役割を果たしてくれます。
ダイエットでもこの小分けにする手法は活用できます。大鍋で3食分の料理を作っても、大鍋のままだとうっかり2食で食べきってしまうかもしれません。大鍋からお皿に移してラップをかけて保管すれば、1食で2皿開けてしまうリスクを低減できます。
ビジネスでも小分けにする手法を応用できます。1年間、10億円の予算で新しい事業を始めたとします。3か月経過して2.5億円予算を消化しましたが、予定より利益が上がっていません。予算はまだ十分残っていますから、このまま事業を継続することも可能です。しかし、継続するデメリットの方が大きいと判断できれば、この時点で事業を中止するという決断をした方がいいでしょう。
1年間10億円という枠を、四半期で2.5億円に小分けしてみてはどうでしょうか。次の四半期が近づいたら、事業の責任者は新たに2.5億円の予算を申請することになります。その際、ここまでの成果や次の四半期の展望を改めて検証する必要があります。そうした検証を通じて、計画のアップデートができるでしょう。場合によっては、事業の中止という結論もあり得ます。
ものやお金を小分けにすると様々な効果があります。また、物理的に小分けにすることが不可能なものも、仮想の小分けをするとメリットを得られる場合があります。生活や仕事でぜひ活用してみてください。