パフォーマンスの質を分ける意外な要因

2010年、労働経済学者のハウスマンは、コールセンターのスタッフに関してある調査をおこないました。スタッフの生産性や離職率の違いが生まれる要因を突き止めるのが目的でした。ハウスマンのチームは、約5万人分のスタッフのデータを分析しました。

スタッフのデータには、採用時に受けていたオンライン査定の記録も含まれていました。ハウスマンは、オンライン査定でわかったスタッフの個性が、現在のパフォーマンスに関連しているのではないかと考えました。しかし、調査を進めても納得のいく結果にはなりませんでした。

試行錯誤した結果、スタッフの勤続期間・欠勤日数・仕事の質と大きな関りのある要素が明らかになりました。それは何だと思いますか?答えは意外なものでした。

正解は、スタッフがオンライン査定時に使っていたブラウザです。SafariやInternet Explorer(IE)を使った人よりも、FirefoxやGoogle Chromeを使った人の方が勤続期間が約15%長いという結果が出ました。それ以外にも、SafariやIEを使った人よりも、FirefoxやGoogle Chromeを使った人の方が欠勤日数が約2割少なかったのです。同様に、Firefox・Google Chrome組は生産性や顧客満足度も高いという結果でした。

なぜ使っているブラウザが違うだけでここまでの差が出るのでしょうか。Appleのパソコンには最初からSafariが入っています。また、当時はWindowsパソコンであれば初期設定でIEが入っています(今ならMicrosoft Edge)。

FirefoxやGoogle Chromeを使っている人は、あえて初期設定のブラウザを使わずに新しくブラウザをダウンロードしています。そういった人は、現状をすべて受け入れるのではなく、他にいい方法はないか模索する傾向があります。

この傾向はブラウザだけにはとどまりません。彼らは仕事においても、盲目的にマニュアルに従うのではなく、マニュアルにない状況にあっても自分なりに工夫してよりよい対応をしようとします。

現状をそのまま受け入れる人は、仕事においてマニュアルにない状況に陥ると、フリーズしてしまう傾向にあります。工夫をして問題を解決しようとはしないのです。そういった状況が続くと、不満がたまって欠勤や早期離職といった行動につながります。

もちろん、マニュアルをおろそかにしていいという話ではありません。しかし、どんなマニュアルでもあらゆるケースを網羅することは不可能です。マニュアルにない場面で、対応を諦めてしまうか、自分なりの解決策を見出そうとするかがパフォーマンスの質を分けるようです。

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