恐怖心と問題解決の関係

複雑な問題に対処するときは以下の手順を踏むのがセオリーです。

(1)事実を把握する
(2)問題の原因を分析する
(3)対策を考える
(4)対策を実行する

通販会社で発送ミスが増えているという問題が発生したとしましょう。これを改善するためには、まず関連する事実を十分把握する必要があります。1日・1か月といった単位時間あたりの発送ミスの件数がどうなっているのか。過去の数字と比べてどれくらい増えているのか。発送プロセスのどの部分でミスが出ているのか。

これらの事実をもとに、ミスの原因を分析して対策を考えます。事実把握が不十分だと、正しい原因の特定ができず、効果的な対策も打てません。問題が発生したときに早く解決したいと思うのは自然なことですが、上記のプロセスは省略せずに実行しなければなりません。

ところが、人は一定の悪条件が重なると、事実把握・原因分析・対策立案をすっ飛ばしてすぐに思いついた行動をとってしまいます。その結果、事態がさらに悪化してしまうことも往々にしてあります。

人は恐怖心を刺激されると、短絡的な行動に走りがちです。事故の発生率を考えると、飛行機は車よりもはるかに安全な乗り物です。しかし、ひとたび航空事故が発生すると冷静に数字を評価できなくなり、フライトをキャンセルして陸路で行こうとする人が続出します。

対応を間違えると会社が傾くとか、自分が首になるといった大きな問題に対処するとき、恐怖や焦りで冷静な判断ができなくなることがあります。「とにかくこの状況を脱しないと」という気持ちが先行して、事実把握や原因分析をしない状態で、とりあえず思いついた対応を行います。その結果、事態がより悪化してしまいます。

頭が恐怖でいっぱいになると、事実を見る余裕がなくなるのは本能的な反応です。目のライオンがいて、こちらに近付いてきたら何も考えずに逃げるのが正解です。「あれはライオンのように見えるが、肉食獣ではない別の生き物かもしれない」とか「あのライオンはこちらを襲うつもりはないかもしれない」などと考えて立ち止まっていたら、その間に食い殺されてしまいます。

原始的な生活をしている人間であれば、本能に従って即座に行動したほうが生き延びられるでしょう。しかし、現代人が直面している問題はそれほど単純ではありません。生活や仕事上の問題の多くは、様々な要素が複雑に絡み合っていて、対応方法の選択肢も様々です。ぱっと思いついた行動が正解ではない場合も多いのです。

重要で緊急性が高い問題ほど、事実把握や分析の必要性が高まります。あなたが何かの問題に直面して、直感的に解決策を思いついたとしても、いったん実行に移すのは保留しましょう。判断を下すのに必要な事実を把握できているか、見落としはないか、その事実を正しく分析できているか立ち止まって考えてみるのです。それから最終的な判断を下しても遅くはありません。

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