トイレの清掃問題

2022年7月、NHKのWEB特集で「本当はイヤなのに 男湯・男性トイレに女性清掃員 なぜOK?」という記事が掲載されました。これは私も前から疑問に思っていました。男性トイレで小をするときはチャックを下ろしている状態です。更衣室の場合は全裸状態のときもあります。そんなところに女性スタッフが入ってくるのは抵抗がある人もいるでしょう。

ちなみに、こういう問題提起をするとき「男性スタッフが更衣室や女性トイレに入るのは許されないのになぜ逆はOKなんだ」という論法がよく使われます。ただ、近年では男性スタッフが女性トイレを清掃するケースは増えています。私も、駅のトイレで「男性が清掃しています」という立て看板を女性トイレの前で見たことがあります。女性トイレの場合、男性トイレと違って利用者はみな個室を使うので、男性スタッフが入るのも許容されやすいのかもしれません。ただ、トイレはよくても更衣室の清掃を男性スタッフがするのは無理でしょう。

私が以前通っていたスポーツクラブでは、利用客からの意見が掲示されていました。そこで「男性ロッカーに女性が入るのはやめてほしい!」という意見を目にしました。クラブからの回答は「なるべく男性が清掃するように努めていますが、男性スタッフの確保が難しいのでご理解ください」というものでした。

男性ロッカーを女性が清掃するのがアリだとすると、クラブは清掃スタッフとして女性だけを雇えばOKです。しかし、男性ロッカーの清掃は男性がすることになると、新たに男性を雇う必要があり、追加のコストがかかってしまいます。そういったコストは払いたくないという企業だと、男性清掃員の導入は遅れてしまうでしょう。

私自身の経験でいうと、男性トイレにいるときに女性の清掃員と遭遇したことはたくさんあります。しかし、20代くらいの若い女性清掃員は見たことがありません。そもそも清掃員に若い人が少ないということもあるでしょう。清掃員の仕事は一般的に給与は低めで、勤務時間も「朝だけ」とか「夜だけ」など短いことも多い。そのため、フルタイムで働ける若い人は他の仕事を選びがちです。それでも「若い女性にはなるべく男性トイレの清掃はさせない」といった不文律があるんじゃないかと私は勘ぐってしまいます。「若い女性はNGだけど、ある程度年齢を重ねれば男性トイレの清掃もOK」ということであれば、それは年齢差別になります。20代で清掃員になって長年勤めてきた女性スタッフが、あるとき「あなたも来月から男性トイレの清掃OKですね」なんて言われたらショックでしょうね。

最初に言及したNHKのWEB特集によると、東京都港区にある清掃会社では、東京オリンピックで多くの外国人が来ると見込まれたことをきっかけに、男性従業員による清掃を希望している外国人が多く働くビルのトイレ清掃は男性が行うことにしたそうです。時代によって変わるジェンダー感、労働市場、国ごとの文化の違いなど、様々なテーマが絡んだこの問題、当分は議論が続きそうです。

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