主任から社長に至るまで、部下をもつ人にとって部下へのフィードバックは重要な仕事です。ポジティブなフィードバックだけならいいのですが、ときにはネガティブなフィードバックをしなければなりません。ネガティブなフィードバックを受ける方はときに傷つくこともありますが、する方も気が重いものです。しかしそこから逃げていては、部下も自分も成長しません。
部下を叱るとき、間違いを正すときに「小言のサンドイッチ」というテクニックがあります。いきなり小言を言うのではなく、まず部下に肯定的な評価を伝えます。その後で否定的な評価を与えます。そして最後に「全体としてあなたには大いに期待している」といった励ましで締めくくります。否定的な評価というサンドイッチの「具」の部分を、肯定的な評価や励ましという「パン」で挟む手法です。こうすることによって、ネガティブな評価によるショックを和らげて、素直に受け入れやすくなる効果があります。
ただ、私はこのテクニックの効果には懐疑的です。かつてこの手法を使う上司がいましたが、テクニックを使ってますよ~というのが見え見えだったのです。「〇〇さんはあれこれについてすごくよく頑張っててすごいね」などと1枚目のパンを差し出してくるのですが、次の「具」を出したい気持ちが強すぎて誉めるときの口調が棒読み、早口なのです。パンが薄すぎてもう具が見えちゃってるんですね。その上司が誉め言葉を言い始めたら「早く本題に入ってよ」と思ったものです。
その上司に限らず、このテクニックを使いすぎると「はい、いつものパターンね」と見抜かれて肯定的なパンで挟む効果が消えてしまいます。また、経験を積んだ相手の場合は知識としてこのテクニックを知っていたり、自身がこのテクニックを使った経験があったりします。そのような相手に小言のサンドイッチを使うと、効果がないばかりか「この私にそんな小手先のテクニックを使うとはなめられたもんだな」と思われてむしろマイナスになるかもしれません。
私は小言のサンドイッチよりも、ストレートに本題のフィードバックを伝えた方が効果的だと考えます。とはいえ、誰でも否定的なフィードバックはいやなものです。その「いやだな」という気持ちが勝ってフィードバックを受け入れられない、とならないように事前準備が必要です。具体的にいうと、「上司としてポジティブなフィードバックもネガティブなフィードバックも率直に伝える」「フィードバックはよりよい仕事をするためのものであって、相手の人格を否定するものではない」という方針を部下に浸透させることです。この方針をことあるごとに伝えたうえで、フィードバックをすれば、パンに挟まなくても言いたいことは伝わると思います。