先日、仕事で立ち寄った建物でトイレに行こうとしたときの話。入口の表示を見て、すぐに男女の区別がつきませんでした。多くのトイレでは男性用トイレに青系統、女性用トイレに赤系統のピクトグラムが表示されています。その建物のトイレはどちらも色がグレーの表示だったので、すぐにはわからなかったのです。よく見ると「〇の下に▽」のピクトグラムが男性用、「〇の下に△」のピクトグラムが女性用とわかり、無事入ることができました。
男女で色分けしないトイレが流行っているのだろうかと思い調べてみたところ、「神戸新聞NEXT」というウェブサイトを発見しました。その記事を要約しつつ説明します(引用サイトURL https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202110/p3_0014746824.shtm)。兵庫県明石市が公園に整備するトイレについて外装の色を市民投票で決めたところ、男性用を青、女性用を青とした案が最多投票となりました。明石市が投票結果を公表すると、市民から意見が2件寄せられました。「男性が青、女性が赤という決めつけは性的少数者への配慮が足りない」「市は性的少数者が暮らしよいまちづくりと言いながら、過去の固定概念にとらわれている」という内容でした。この意見を受けて再度協議した結果、投票で2位となった性別で色分けしない配色案に変更になりました。
引用元のサイトにトイレの外装写真が掲載されています。男女とも同じ茶系統の色で落ち着いた感じなのですが、やはりぱっと見で分かりにくい気がします。形よりも色の方が瞬間的に判断しやすいものです。外装の写真を見ると、男性のピクトグラムは首から下が縦長の長方形のようなシルエットで脚が2本伸びているデザインです。女性のピクトグラムはスカートをはいているようなシルエットのデザインです。「色分けはよくないという意見の人は、デザインの男女差については何も言わないんだ?」と思ってしまいました。
誤解されないように言っておくと、性的少数者が暮らしやすい社会をつくるという考えには賛成です。しかし、トイレの外装で男女の色分けをなくすことが、性的少数者への配慮につながるとはどうも思えないのです。TOTOが2018年に実施した「性的マイノリティのトイレ利用に関するアンケー調査」によると、トランスジェンダーがトイレ利用の際にストレスを感じていることは、1位「トイレに入る際の周囲の視線」2位「トイレに入る際の周囲からの注意や指摘」3位「男女別のトイレしかなく選択に困ること」という結果でした。
3位「男女別のトイレしかなく選択に困ること」に関しては、男女の色分けをどうこうしても解決しません。1位と2位はいずれも「あの人、自分の性別と反対のトレイに入ってる」と思われることが原因です。これに関しては、男女の色分けをなくす効果が少しはあるかもしれません。色分けがなければ、その人が入ろうとしているのが男性用か女性用かぱっと見わかりにくくなるからです。とはいえ、トイレの中にいる人や、男性用・女性用の区別がついている人から非難を受ける可能性は排除されません。結論として、色分けをなくすメリットよりも「ぱっと見でどっちがどっちかわかりにくくなる」というデメリットの方が大きいと思います。
この話をすると「色覚異常の人は男女の色分けをしても見分けがつきにくい」という意見が出てくるかもしれません。しかし、男女の色を同じにしても色覚異常の人が見分けがつきやすくなるわけではありません。色を同じにすると、色の見分けがつく人が男女を判断しづらくなるだけです。色覚異常の人への対応は別のアプローチが必要であり、具体策もいろいろあるのですが今回のメインの話題から外れるのでこの辺りでやめておきます。
トランスジェンダーの公共トイレ問題については、性別にかかわらず利用できる個室トイレの普及がひとつの解決策になるでしょう。これならば、男女別の表示は現状を維持しながら、自認している性別と違うトイレを使うことに抵抗を感じる人にも配慮できます。なかなか難しい問題ではありますが、皆さんはどうお考えでしょうか。