ニュースで関係者の自宅に行って取材をする場面を見ることがあります。マスコミはどうやって取材対象者の住所を把握しているのか気になります。有名人の場合は、目撃情報などから「ここはどうやらあの有名人の家らしい」とばれてしまうことがあるかもしれません。一般人の場合、住所を突き止める難易度はより高くなるでしょう。それでもマスコミは事件が起こったときに、なぜか関係者の自宅を直撃することがあります。もし私がいきなり自宅に取材に来られた場合は「なぜ私の住所がわかったのでしょうか。経緯を教えてください」と問い詰めたいと思います。幸い、これまではそのような機会はありませんでした。
昔は個人情報に対する意識が希薄でした。私の小学校の卒業アルバムは、後ろの方に卒業生の住所が書いてありました。今考えればとんでもない時代でした。昔のプロ野球選手名鑑には、選手の住所が記載されていました。ファンレターの送り先を教えてあげるという意味があったのかもしれません。選手名鑑で住所を調べて悪いことをする人とかいなかったんでしょうか。ネット情報によると、2005年に個人情報保護法が施行されてからは住所を含めた様々な情報が非公開になったそうです。結構最近まで公開されていたんだなという印象です。
昭和40年代くらいまでは、「平凡」「明星」といった若者向け芸能雑誌に芸能人の住所が掲載されていたそうです。これも今ではあり得ません。「平凡」の1968年11月号では萩本欽一、通称欽ちゃんの密着取材記事がありました。そこにとんでもない文章が載っていました。「新居に早朝から電話をしたり部屋に押しかけたりしないでね。ちょっぴりノイローゼ気味の欽ちゃんからのお願い、聞いてやってね」。そしてその隣には欽ちゃんの新居の住所が書かれているのです。現代の基準で考えると「狂ってる」としか言いようがないのですが、当時はこれがまかり通っていたのです。
翻って2022年、随分と個人情報への意識も変わりました。昔の小学生は名札を付けて登下校していましたが、本来知らせる必要のない人に名前が知られてしまいます。それが犯罪につながるリスクもあります。都内の多くの学校では、名札を学校に置いて行く「置き名札」をおこなっているといいます。
接客業では、多くの店舗で従業員が名札をしています。名前を出すことで、顧客に親しみをもってもらう、従業員に緊張感をもって仕事をさせるといった意味があるのでしょう。これに関しても、個人情報保護の観点で「名字だけとかニックネームにしたほうがいいのではないか」「そもそも名札が必要なのか」といった議論がおこなわれています。実際、カジュアルな雰囲気の店では店員の名札がニックネームになっていることも珍しくありません。
個人情報への意識が高まった現在でも、法律によって個人情報の掲示が義務付けられている場合があります。食品衛生法によると、営業許可や届出の対象となる全ての施設で食品衛生責任者を定める必要があります。 また,食品衛生責任者の名前は施設の見やすい場所に掲示しなければなりません。
以前散歩していたときに、建築中の個人宅を発見しました。現場にあった看板には「〇〇様邸工事」と書かれていました。このご時世に、新築住宅の持ち主の名前をフルネーム表示です。気になって後で調べてみると、建築基準法により建築中の建物の所有者、ここでは家主の名前を表示する義務がありました。しかし、様々な事情から所有者欄が空欄だったりイニシャルだったりすることも増えているようです。これは違法です。しかし罰則がないため、あえて本名を表示していないんですね。工事に関する質問や要望を伝えるために、工事業者の責任者の氏名を表示させるのは理解できるのですが、個人宅の家主の名前を出すのはご時世的にどうなのかな、と個人的には思います。