各方面への配慮から名称が変わったもの

今回は様々な配慮によって、名称が変わったものについて紹介します。まずは「自殺点」。サッカーで、自分の能動的な行動によって自陣にゴールを決めて失点してしまうことを意味します。例えば、味方のキーパーに戻そうと思って蹴ったボールがそのままゴールになってしまったら自殺点になります。「自殺」という言い方がよくないということで、1994年に日本サッカー協会は「オウンゴール」という名称に変更すると発表しました。

もうひとつサッカーの用語で、「延長サドンデス」というものがありました。延長戦に入った際、先に1点を取った方がそのまま勝者になるルールです。通常、サッカーの延長戦は前半後半15分ずつなのですが、「試合をよりスリリングにする」「試合を少しでも早く終わらせる」といった意図から、1990年代のJリーグなどで延長サドンデス方式が採用されました。この名称も「デス」という部分がよくないということで、「延長Vゴール」という名称に変更されました。

このようにサッカーでは、いち早く時代の変化を読み取って適切な名称変更をおこなってきました。一方、野球は従来の用語を使い続けています。まず、「アウト」という用語は日本では「死」と呼ばれています。「1アウト」「2アウト」は「1死」「2死」となります。打者を打ち取るときは「刺殺」「捕殺」「封殺」など、不穏なことばが飛び交います。ランナーが惜しいところでアウトになると「憤死」と言われます。「憤死」なんてそもそも「激しい怒りのうちに死ぬこと」という意味ですからね。タッチアウトになったくらいで「憤死」は大げさでしょう。

スポーツ関連以外では、「オレオレ詐欺」という用語はいろいろと呼び名が変わっていきました。「もしもし、オレオレ。今ちょっとお金に困っててー」といった具合に、息子や孫を装って金をだまし取る詐欺は「オレオレ詐欺」と呼ばれていました。

その後、こういった詐欺は手口が多様化して、必ずしも「オレオレ」というワードが使われるわけではなくなりました。それを受けて、2004年に警察庁は、なりすまし詐欺・架空請求詐欺・融資保証金詐欺・還付金等詐欺を総称して「振り込め詐欺」と呼ぶこととしました。

さらに時代が進んで、振り込ませる以外の手口が増えてきました。例えば、自宅や繁華街で直接お金を受け取ったり、プリペイドカードなど現金とは別のものをだまし取るといった方法です。そこで2013年に警視庁は新たな名称を公募しました。そのときの最優秀作品は「母さん助けて詐欺」です。この名称だと、手口がより限定されてしまうような気がします。被害に遭うのは母親だけでなく祖母・祖父・父などの可能性もありますよね。

性的少数者を表す「LGBT」という名称は割と最近出てきたものです。ようやく聞きなれたと思ったら、新たに「LGBTQ」という名称も耳にするようになりました。Qは「クエスチョニング(自分のセクシュアリティを決められない、決めない人)」のことだそうです。ウィキペディアによると、他にも「LGBTQ+」「LGBTQIA」といったバリエーションもあるそうです。

どこまで長くなるのかと思っていたら「LGBTTQQIAAP」というワードもありました。格闘ゲームの必殺技コマンドみたいになっています。これで終わりというわけではなく、さらに長くなる可能性が高いでしょう。さらに「QUILTBAG」という名称もあります。「急にどうした?」と言いたくなりますね。「LGBT」からどんどん付け足していく方式だと思いきや、いきなり語順を崩しだしたので驚いてしまいます。

今まで慣れ親しんだ名称が突然変わると最初は戸惑いますが、ある程度時間が経つと慣れますよね。「オウンゴール」って初めて聞いたときは「変な名前だな」と思ったものですが、数か月もすれば自分でも試合を見て「今のオウンゴールは・・・」などと普通に使っていました。しかし、「母さん助けて詐欺」と「QUILTBAG」は、今後の人生において自分は一生使うことはないだろうなと思います。

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