ある大学生が、夏休み前の期末試験を終えました。今回の試験は、卒業時の成績や就職にも大きな関りがある重要なもので、学生はここ数週間、集中して試験勉強に取り組みました。あと2日で試験結果が出ます。そんなとき、夏休みに格安でハワイ旅行に申し込めるチャンスを得ました。今すぐ申し込めば、格安料金でハワイに行けますが、試験結果がわかる2日後に申し込むと通常料金になってしまいます。1000円の手付金を払えば、2日後の申し込みでも格安料金が適用されます。あなたがこの学生だったら、どうしますか。
・今すぐ申し込む
・申し込みは見合わせる
・手付金を払って試験の結果がわかってから申し込む
「手付金を払う」という人が多いのではないでしょうか。心理学者のエイモス・トバースキーとエルダー・シェイファーが学生を対象におこなった実験では、この状況で61%の学生が手付金を払って2日後まで待とうとしました。
トバースキーとシェイファーは、一部の学生には2日後を待たずにその場で試験結果を伝えてみました。試験が合格だったと伝えられた学生たちは、57%が旅行に行くことを決めました。不合格だったと伝えられた学生たちは、54%が旅行に行くと決めました。つまり、試験結果が合格でも不合格でも、旅行に行くかどうかの判断にさほど影響を与えないということがわかりました。
試験結果にかかわらず旅行に行くつもりなのであれば、試験結果がわからない状況でも手付金など払わずに決断すればいいはずです。しかし実際には、人は不確実なものが目の前にあると、それとは無関係なものの判断にも影響が出てしまうようです。
不確実なものがあるために、決断を保留している案件がある人は、その不確実なものと保留している案件の関係性を、一度見直してみるといいかもしれません。「来週の日曜にバーベキューをしようと思っているんだけど、その日に仕事が入る可能性がある。休みか仕事が確定するまではバーベキューの予約を入れられない」というケースであれば、予約を保留するのは合理的です。
一方で「来週の日曜にバーベキューをしようと思っているんだけど、この前のプレゼンで提案した企画が通ったかどうかまだわからない。規格の可否が確定するまではバーベキューの予約を入れられない」というケースはどうでしょうか。もし、企画の可否とバーベキューの間には何の関連性もなく、いずれにせよバーベキューをやるつもりなのであれば、保留せずにすぐにバーベキューの予約を入れてしまうのがいいでしょう。
プライベートでも仕事でも、理由になっていない理由によって滞っている案件を発見したら、そんな理由は無視してどんどん先に進めていきましょう。