ジムの会員でありながら、ほとんどジムに行かない、いわゆる「幽霊会員」はどれくらいいるのでしょうか。ネットで検索してみると、2割・3割・7割・8割といった数字が出てきました。幽霊会員の定義によって数字は大きく変わってくると思いますが、一定の層がジムに会費を払いながら利用できていないということは確かなようです。
ジムの申込書にサインをするのは一回限りの意思決定です。一度サインしてしまえば、退会しない限り会員であり続けることができます。一方、定期的にジムに通うのは繰り返しの意思決定です。「疲れたから」「天気が悪いから」「明日早いから」「同僚と食事に行くから」「面倒くさいから」など、様々な「行かない理由」を振り払ってジムに行くにはエネルギーが必要です。そしてこれらの「行かない理由」は一度振り払えば終わるわけではありません。何度もあなたの前に立ちはだかってきます。こうした戦いに疲れた人々は、やがてジムに行くことが選択肢に上がることすらなくなり、幽霊会員になります。
繰り返しの意思決定を、一度限りの意思決定に変更すると望ましい結果が得られる場合があります。例えば各種料金の月々の支払い。届いた請求書を開封して金額を確認し、支払いの手続きをするのは誰にとっても面倒です。仕事の休憩時間や、仕事帰りに支払おうと思っていてもつい忘れてしまったり、「今日じゃなくてもいいか」と思って翌日以降に引き伸ばしてしまったりするものです。繰り返しの意思決定を避けるために、自動引き落としという制度があります。自動引き落としにするには、口座番号や各種個人情報を記入する必要があって面倒ですが、一度やってしまえば毎月の非生産的な作業から解放されます。
給与天引きによる貯蓄、いわゆる財形貯蓄も、繰り返しの意思決定を一度限りの意思決定に変更しています。「今月は物入りで」とか、「ずっと前からほしかったアレが期間限定で割引になっている」といった具合に、貯金を妨げる要因は日々発生します。毎月、それらの要因に負けることなく貯金をするのは人によって難しいでしょう。一度財形貯蓄の手続きをしておけば、以降はこちらの意思に関係なく自動的に一定額が貯金できるようになります。
逆に、ブレーキをかけたい行動があれば、一度限りではなく繰り返しの意思決定が必要なようにしてみるとよいでしょう。ジムの幽霊会員は、毎月会費を自動で徴収されていることはわかっていますが、退会の手続きすら面倒くさいと思って在籍し続けています。これが自動引き落としではなく、毎月請求書に従って自分で支払いをするのであれば、ジムに在籍し続けるメリットはあるか検討する機会になります。そして、行ってもいないジムの会費を毎月払い続けるよりは、一度だけ退会の手続きをするという意思決定をしやすくなります。もっとも、ジム運営側もそのことは理解しているので、多くのジムでは会費は自動引き落としのみになっています。
カップ麺やスナック菓子は手軽にカロリーが取れますが、栄養に乏しいジャンクフードです。たまに気晴らしで少しだけ食べるくらいなら問題ありませんが、毎日大量に食べると健康によくないでしょう。食べ過ぎないようにするためには、まとめ買いをしないことです。一度まとめ買いをして家に置いてしまえば、家にいるときはいつでも食べることが可能です。その結果、1か月分として買ったつもりが1週間で食べきってしまうかもしれません。1食分だけ買っておけば、それを食べた後追加で食べるにはまた買いに行かなければなりません。予定していなかった買い物に行くのが面倒で、結果として食べ過ぎを防ぐ可能性が高まります。
ここまでの話をまとめます。望ましい行動に関して、それが一度の意思決定で済ませられるのであればそうした方がいい。定期的に見直したい行動に関しては、継続するのに繰り返し意思決定が必要な仕組みを取り入れるといい。このように使い分けてみると、仕事や普段の生活が少しだけ楽になるかもしれません。