ある程度組織で働いていると、「○○さんがいないと仕事が回らない」「○○さんが倒れたら会社は崩壊する」といったフレーズを言ったり、誰かが言っているのを聞いたりすることがあるでしょう。しかし、ほとんどの場合それは幻想に過ぎません。組織の要を担っている人が急にいなくなっても、他の人たちでカバーできるものです。
コロナ禍になってからは、コロナ罹患や濃厚接触などが原因で突然職場を長期離脱するケースが増えていることでしょう。それによってある程度のダメージは受けるでしょうが、組織崩壊までつながったということはあまりないのではないでしょうか。
都内で複数の店舗を運営する会社の本部で働いていたときは、店舗責任者が突然退職することが何度もありました。あるときは横領が発覚して、その場で退職願を書かせたということがありました。あるときは「私にはもう無理です」という手紙とともに店の鍵が郵送されてきたこともありました。いずれも責任者以外のスタッフは全員バイトで、運営に関わる情報のほとんどは責任者だけが握っていました。責任者が居なくなった後、店が崩壊したかといえばそんなことはありません。いずれのケースでも、本部のスタッフが店に入り、残された資料を見たり、ベテランスタッフに聞いたりしながら運営を代行し、後任を決めて引き継ぎました。多少の混乱はありましたが、それが原因で店が潰れるということはありませんでした。
世の中には、業務上の重要な情報を自分のところだけに留めておいて、関係者に共有しようとしない人がいます。「何かあったときのために担当業務の情報共有をお願いします」と依頼しても、「普段の仕事が忙しすぎて共有のための時間が取れない」とか、「担当業務のノウハウは文書化できるようなものではない」と言ってのらりくらりとかわします。情報を独占し続けることによって、組織での地位を維持しようと考えているのでしょう。このような人がトラブルを起こした場合、問題がこじれがちです。「この人の機嫌を損ねると業務に支障が出る」という思いがあると、公平な対応ができなくなってしまいます。しかし前述したように、責任者が重要な情報を握ったまま突然退職しても組織は回っていくものなのです。気にせず是々非々で対応しましょう。
これまでの話は当然自分自身にも当てはまります。「私がいないと会社が大変なことになる」と思っている人が、仮にコロナで2週間離脱したとしても、誰かがその人の仕事をカバーして組織は回っていくものなのです。それくらいの自信をもって仕事をするのはいいかもしれませんが、「私がいないと・・・」と思って必要以上に無理をするのはやめたほうがいいでしょう。