ギャンブラーの誤謬

ルーレットをしていて、5回連続で赤が出たとします。次も赤が出る確率はどれくらいでしょうか。このルーレットが正常なもので、ディーラーがインチキをやっているのでなければ次も赤が出る確率は50%です。しかし、「5回連続で赤が出たんだからそろそろ黒が出るんじゃないか」という気持ちになる人もいるでしょう。こういう考えを「ギャンブラーの誤謬」と呼びます。

ルーレットやコイン投げなど、純粋に確率に支配される事象以外でもギャンブラーの誤謬と似たような状況が発生します。ABCDの中から1つ選ぶ四択問題のテストを受けていて、Bという答えが4つも続くと不安になりますよね。もし作問者が正解となる選択肢をランダムに選んだとすると、連続した4問の正解がBBBBとなる確率は4分の1の4乗、256分の1です。BDACとなる確率も、CADCとなる確率も同じく256分の1です。確率は変わらないのに、自分の解答がBBBBとかAAAAになると「どこか間違っているんじゃないか」と自分を疑ってしまうんですね。

この心理は、専門的な知識と経験を兼ね備えたプロフェッショナルにも起こり得ます。例えばスポーツの審判は、判断が分かれるプレーで立て続けにファールの判定をしたら、次に同様の微妙なプレーのときはノーホイッスルになりがちです。ある調査によると、アメリカの難民調査官は2回続けて承認すると次に承認する確率は本来より19%下がるといいます。難民申請は、申請内容にのみ基づいて可否を判断されるべきなのは言うまでもありません。しかし実際には、自分より前の申請者の結果という、申請者ではコントロールできない事情によって可否が変わってくる可能性があるのです。

本当に自分の判断に自身があれば、目の前にある申請の判定が以前の判定内容に影響されることはないでしょう。「この申請内容なら承認すべき」と思うのなら、それで3回連続承認となってしまうとしても、ためらわず承認すればよいのです。しかし、2回連続で承認をした調査官は、その次の調査では申請者にとって有利な部分を軽視して、見つけ出してきた不利な部分を理由に承認を却下します。ほとんどの場合、無意識のうちにそうしてしまうのが恐ろしいところです。

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